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映画『町田くんの世界』【ネタバレなし感想】石井裕也監督作品。細田佳央太×関水渚の瑞々しい演技に注目!

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映画『町田くんの世界』を観てきました!

 

なんとも優しい映画、というか優しい気持ちにさせてくれる映画、というかみんなに優しくしたい!って思わせてくれる映画でした。見終わった後の幸福感がハンパないです。

 

2019年上半期に観た映画でオススメは?と聞かれたら「町田くんの世界です!」と即答できるほどの傑作映画でした。

 

町田くんを演じた細田佳央太(かなた)さん、今作のヒロインで、町田くんのクラスメイトの猪原さんを演じた関水渚さん。初々しく瑞々しく、そしてハツラツとした2人の演技にも注目です!この2人…売れますよ。

  

では、いってみましょう。

 

 

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作品情報

公開日:2019年6月7日

監督:石井裕也

原作:安藤ゆき

脚本:石井裕也

   片岡翔

企画:北島直明

プロデュース:北島直明

主題歌:平井堅「いてもたっても」

配給:ワーナー・ブラザース映画

上映時間:120分

 

キャスト

細田佳央太:町田一

関水渚:猪原奈々

岩田剛典:氷室雄

高畑充希:高嶋さくら

前田敦子:栄りら

太賀:西野亮太

池松壮亮:吉高洋平

戸田恵梨香:吉高葵

佐藤浩市:日野

北村有起哉:町田あゆた

松嶋菜々子:町田百香

  

予告


映画『町田くんの世界』本予告【HD】2019年6月7日(金)公開

  

あらすじ

これまでのどんな主人公とも違っている、町田くん。運動も勉強も出来ないけれど、たったひとつの才能は、すべての人を分け隔てなく愛することだった! そんな“人が大好きな”町田くんが、“人が大嫌いな”の猪原さんに出会ったことで、初めて“わからない感情”に向き合うことに。そして、まわりのすべての人を巻き込んで、驚天動地の物語が動き出す!

(出典元:映画『町田くんの世界』公式サイト)

 

 

ざっくりとあらすじ 

 

眼鏡をかけた普通の高校生の町田くん。

勉強も運動も苦手な町田くん。



誰にでも親切で優しい町田くん。



お母さんが「晩御飯にハンバーグが食べたいなぁ…」なんて言ったらレシピを見て何とかして作ってあげようとしたり、学校の図書室で女子生徒が重たそうに運んでいる本を代わりに運んであげたり、バスではお年寄りに席を譲ってあげたり…。

家族にもクラスメイトにも赤の他人にも分け隔てなく誰にでも親切で優しい町田くん。

なんでこんなに誰にでも親切で優しいのか。それは、町田くんは人が好きだからなんです。

自分のことより周りの人のことを優先して一生懸命になってしまう、親切で優しくて人が好きな町田くん。

 

そんな、人が好きな町田くんと人が嫌いなクラスメイトの猪原さんが出会い、町田くんに今までに感じたことのない「わからない感情」が芽生えるんです。

 

いろんな人と出会い接しながら、町田くんに芽生えた「わからない感情」の正体に町田くん自身が気付いていくという、町田くんと猪原さんのなんとも素敵な素敵な物語。

 

 

映画『町田くんの世界』ネタバレなし感想

町田くんは人が好き  

 

とにかく町田くんと猪原さんの2人が素敵でね。

 

町田くんは誰に対しても一生懸命で、全力で優しいんです。かといって、全然押し付けがましくもなくて。人類みな家族。ただ人が好きなんです。

 

でね、町田くんの一生懸命さの象徴が、がむしゃらな走り方なんです。顎は上がっちゃってるし、フォームはぐちゃぐちゃだし、絶対に速くないよなぁって(もともと町田くんは運動苦手だしね)。でもそのがむしゃらな走り方がまさに町田くんを表していて、全力を出している感があって、なんだか応援したくなっちゃうんです。

 

ある日、授業中に手を怪我をして保健室に行った町田くんは、授業をサボっていたクラスメイトの猪原さんと運命の出会いが。

 

で、町田くんを演じた細田佳央太さん。現役高校生らしいです。演じている町田くんは眼鏡をかけていて、走り方は変で、全体的にパッとしないけど…細田佳央太さん自身は多分イケメンですよ。振り切った演技がとっても好感が持てました。次回作でちょっとクールな高校生役なんてやったら一気にブレイクしそうっすねー。要注目です。

 

 

 

猪原さんは人が嫌い

 

人が嫌いな猪原さんは少し拗らせ気味でツンツンしているんです。町田くんと出会った当初は。でもストレートな愛情表現をする町田くんのことが気になり始め、徐々に惹かれていくんですね。愛情表現といっても町田くんにとって特別な思いはなくて、ごく普通に優しく接しているだけなんだけどね。

町田くんに惹かれちゃった猪原さんは、誰にでも(他の女の子に対しても)優しく接する町田くんの気持ちがわからなくてモヤモヤしちゃうんです。「あれ?私にだけ優しいんじゃないの?」みたいな嫉妬心が芽生えてくるんです。そんな猪原さんの気持ちに気付かない町田くん。イライラする猪原さん。

 

町田くんの気持ちがわからなくてモヤモヤイライラする猪原さんがとってもとっても可愛くて。

 

他の女の子にも優しくする町田くんを見て嫉妬しちゃう猪原さんなんて…そりゃあもう、最高級に可愛くてたまらないっすよ。

この2人の温度差が埋まりそうで埋まらなくて、見ているおじさんは(あ、僕のことね)ムズムズキュンキュンしちゃうわけで。おそらく、僕は2人のやりとりをずっとニヤニヤしながら観てたんじゃないかな…(^^;;

 

で、今作のヒロイン・猪原さんを演じた関水渚さん。瑞々しくてめっちゃ良かったです。新川優愛さんと芳根京子さんを足して2で割ったような顔立ちで、可愛いし少し色気も感じられて。町田くんに負けない存在感を放ってました。細田佳央太さん同様に今後要注目です。

 

 

 

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新人俳優+豪華キャスト

 

町田くんを演じる細田佳央太さん(演技経験ほぼゼロですって!)、猪原さんを演じる関水渚さん。この新人俳優の周りを固めるキャストが豪華すぎてね。

 

岩田剛典、高畑充希、前田敦子、太賀、池松壮亮、戸田恵梨香、佐藤浩市、北村有起哉、松嶋菜々子。凄いでしょ?主役級が揃ってます。

 

岩田剛典さん(30歳)、高畑充希さん(26歳)、前田敦子さん(26歳)、太賀さん(26歳)の4人はまさかの高校生役で。まあまあ大人ですよね。でも違和感ないっていう。

 

中でも町田くんと猪原さんのクラスメイトで、2人を近くで見守るクールな女子高生・栄りら役の前田敦子さんが抜群の存在感でね。町田くんと猪原さんの進展しない2人を見ては「普通ならもう付き合ってるぞ」みたいな鋭い突っ込みというかひとり言を要所要所に入れてくるんですね。これが面白くてね。今作のアクセントになってるんです。

 

前田敦子さんって高校生の時ってこんな感じだったのかなぁなんて思わせるほどピッタリな役柄でした。

 

最近は広末涼子さんが若手女優のバイプレーヤーとして存在感を発揮していると僕は思っていて。その広末涼子さんの後に続く若手女優のバイプレーヤーになりそうに思えるほど栄りら役の前田敦子さんは良かったですね。

 

あとね、町田くんのお母さん役の松嶋菜々子さん。「ハンバーグ食べたいなぁ」なんて町田くんに甘えちゃったりして、フワッとしていて優しそうなお母さんなんです(美人だし)。町田くんに余計な口出しはしないで、やりたいようにやらせて見守っているんだろうなぁっていう日常が見えるようで。大らかなお母さんといった感じで。

 

町田くんに甘えちゃったり、フワッとしているお母さんだけど、しっかり町田くんの変化には気づいていて。町田くんに芽生えた「わからない感情」の答えもそっと優しく町田くんに教えてあげたりして。口うるさくないし、でも悩んでる時にはそっと答えを言ってくれる松嶋菜々子お母さん、素敵でした。

 

芸能スキャンダルを追いかける記者・吉高洋平役の池松壮亮さんも良かったです。途中までは町田くんや猪原さんと直接交わらないんですけど、クライマックスで一気に交わって2人の行く末を見守るかなり重要な役どころ。

 

僕の池松壮亮さんのイメージはどうしても『MOZU』の猟奇殺人犯のイメージというか、狂気を孕んだ演技をする役者さんのイメージなんですね。ちょっと変わってる役が多いというか。でも本作では、家族を持ち、家族を養うために仕事して、と普通の人の役なんですね。

 

普通の池松壮亮さんもいいですねー。とっても演技が自然体だし、すっごく顔つきも優しくて。戸田恵梨香さんが奥さんの役なんですけど、奥さんと子どもとの3人のシーンが(1分間くらいだけど)とっても優しくて温かくて印象的なんです。「悪意に満ちているこの世界」から町田くんに救われた男を好演してました。個人的には池松壮亮さんのラブコメを観てみたいなって思わせるほどいい雰囲気を醸し出してました。

 

 

ファンタジー溢れるクライマックスへ

 

町田くんの優しさに触れた人たちがみんな誰かのために一生懸命になり、町田くんによって何かが変わっていくんです。もちろん猪原さんも。

 

と、同時に町田くん自身にも心の変化が起きようとしていて、そして町田くんがその心の変化に気づき行動するというクライマックス。

 

もうね、最高のファンタジーが待ってます。

 

詳しくは書かないので、自分の目でぜひ観て欲しいなと。

 

ドラマでも映画でも、僕は少しのファンタジーが描かれることにとっても賛成なんですね。ま、もちろんジャンルにも作品によりますが。

 

ポール・トーマス・アンダーソン監督作品『マグノリア』(1999)っていう映画知ってますか?いろんな悩みを抱えた人間たちの感動的なドラマなんですけどね(結構重厚なドラマ)、ラストが衝撃的なんです。ファンタジーなんです。

 

最後にカエルが降ってくるんですよ。

カエルってあのゲコゲコ泣くカエル、蛙。

そのカエルもまあまあ大きいカエル。

 

それも数匹降ってくるんじゃなくて、ボトボトボトボトボトって雨のように降ってくるんですよ。こんな奇想天外なファンタジーなラストを観たのは後にも先にも『マグノリア』だけです。

 

『町田くんの世界』のラストは僕にとって『マグノリア』以来の衝撃でした(カエルは降ってきませんよ)。こうくるかー!って感じで。賛否両論あるかもしれないけど、僕はワクワクしてスクリーンに引き込まれました。僕は最高にファンタジーなクライマックスシーンだったと思います。

 

  

 

まとめ  

この世知辛い世の中で、こんな素敵な愛おしい映画を観ることができてホントに幸せでしたありがとう!ってひと言お礼を言いたくなるほど素晴らしい映画でしたよ。

 

誰にでも親切で優しくて人が好きな町田くん。そして人が嫌いで拗らせ気味の女子高生の猪原さん。町田くんが、2人の出会いが、いろんな人々へ影響を与えて、みんなが一生懸命になり優しくなる。そしてこの映画を観た人をも優しい気持ちにさせてくれるという。

 

もうね、みんなに観て欲しい。

 

家族、友人、親子、恋人…誰と観ても楽しめて、観終わった後はとっても優しい気持ちになりますよ。「これからはもっと人に優しくなろう」って思わせてくれます。

 

見て見ぬ振りをしたり、気付かないふりをしたり、周りに関心を持たなかったり…「悪意に満ちているこの世界」とまでは言わないけど、こんな世知辛い世の中で生きるには、町田くんって危ういんです(周りから引かれたり、冷めた目で見られる可能性があるっていう意味で)。でも、そこを正面突破で描き切った石井裕也監督に拍手です!演じ切った細田佳央太さんと関水渚さんに拍手です!

 

人の幸せよりも不幸を好む「悪意に満ちているこの世界」で、最後の希望である(ちょっと大げさだけど)町田くんの神がかった優しさをぜひ感じて欲しいです。2019年上半期オススメしたい映画NO.1です!

 

 

 

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!

 

ではまた。