ビボログ!

Over40おじさんデザイナーの備忘録なブログ

映画『見えない目撃者』【ネタバレ感想】吉岡里帆主演!盲目の元女性警官の絶望と再生を描いたサスペンススリラー!

f:id:o40-designyu:20191003000906j:plain

 

映画『見えない目撃者』を観てきました!

 

2011年の韓国映画『ブラインド』をリメイクした本作。

 

めちゃくちゃ面白かったです。

間違いなく傑作映画です。

吉岡里帆さん…好きです。

  

では、いってみましょう。

 

 

f:id:o40-designyu:20190928161232j:plain



 

 

 

作品情報

公開日:2019年9月20日

監督:森淳一

脚本:藤井清美

   森淳一

製作:村松秀信

   加太孝明

   アンディ・ユン

   與田尚志

   久保雅一

           宮崎伸夫

           有馬一昭

           高木雄一郎

           猪野丈也

音楽:大間々昂

ドッグトレーナー:宮忠臣

主題歌:みゆな「ユラレル」

配給:東映

上映時間:128分

 

キャスト

吉岡里帆:浜中なつめ

高杉真宙:国崎春馬

大倉孝二:吉野直樹

浅香航大:日下部翔

酒向芳:高橋修作

松大航也:浜中大樹

國村隼:平山隆

渡辺大知:横山司

柳俊太郎:桐野圭一

松田美由紀:浜中満代

田口トモロヲ:木村友一

 

予告


【主題歌PV】映画『見えない目撃者』本編特別映像<みゆな主題歌ver.>

 

あらすじ

警察学校の卒業式の夜、自らの過失で弟を事故死させてしまった浜中なつめ。自身も失明し警察官の道を諦めた彼女は、事故から3年経った現在も弟の死を乗り越えられずにいた。そんなある日、車の接触事故に遭遇したなつめは、車中から助けを求める少女の声が聞こえてくることに気づき、誘拐事件の可能性を訴える。視覚以外の感覚から感じ取った“目撃”情報を警察に提示するなつめだったが、警察は目の見えない彼女を目撃者と認めず捜査を打ち切ってしまう。なつめは少女を救うべく奔走し、事故現場で車に接触したスケボー少年を探し出す。やがて女子高生失踪が関連づけられ、連続誘拐事件の存在が判明。なつめは事件の闇へと切り込んでいくうちに、弟の死とも向き合うことになる。

(出典元:映画.com)

 

 

映画『見えない目撃者』ネタバレ感想

キャリア史上最高の吉岡里帆

 

迫真の演技、体当たりの演技、熱演、好演…どの言葉もチープに聞こえちゃうくらいに、吉岡里帆さんの演技が抜群で素っ晴らしかったです。吉岡里帆さんの出演作をそれほど観ていないので説得力に欠けますが、吉岡里帆さんのキャリア史上最高の演技だったのではないでしょうか(ベタ褒め)。

 

(2017年のTBSドラマ『カルテット』で、目の奥が笑っていない魔性の女・来杉有朱を演じた吉岡里帆さんの演技が、個人的にはいちばん良かったと思っていたんだけど、軽く超えていきました。)

 

自らの過失で交通事故を起こして視力を失い、弟の命を奪い、警察官としての未来も閉ざされてしまうという絶望感。3年経っても弟の墓参りにも行けないほどに病んでしまった心。事件を「目撃」しても「盲目」だということで信用されない苛立ち。事件に巻き込まれた女子高生を救うために自分のやれる事をやろうとする行動力正義感。犯人像を絞り込む聡明さ。犯人に追い詰められる恐怖感。犯人と対峙し命の危険に晒されながらも諦めない気持ちで戦う勇気。そして、人生の再生へ…という、主人公・浜中なつめの目まぐるしい感情を完璧に演じた吉岡里帆さんブラボー。

 

そして、大前提として「盲目」というハンディキャップを持っている女性を演じているので、目の演技が制限されて、演者としてかなりハードルは高かったと思います。少しでも「盲目」の演技に粗が出てしまうと、観客は一気に現実に引き戻されて冷めちゃいますからね。その辺りの演技も不自然なところは無かったし「盲目の元女性警官」としてビシッと演じられていました。

 

さらにさらに、盲導犬パルと共に行動したり、犯人から走って逃げたり、犯人とのアクションもあったり…と、盛りだくさんの演技で、体力的にもハードだったことを想像するに難くないですよね。ホントしんどい役柄だったと思います。

 

観終わった後、吉岡里帆さんのファンになっちゃいました。好きになっちゃいました。

 

 

 

高杉真宙の癖のない演技が最高  

 

なつめ同様に事件の目撃者で、なつめの目となりバディ的な役割を担った高校生・国崎春馬役の高杉真宙。彼も抜群でした。

 

春馬自身はネグレクトを受けていて、さらに高校の担任からも見放されていて、やる気の無い人生を送っていて。で、自身も命の危険に晒されるんだけど、なつめと共に、なつめの目となって事件の真相を追ううちに、さらわれた女子高生を救いたいという強い気持ちに心動かされて、命懸けて犯人に立ち向かい、そして彼自身も生き甲斐を見つけて歩き始める…という、吉岡里帆さん同様に重要で難しい役どころをビシッと演じてました。

 

僕が高杉真宙さんを知ったのはファブリーズのCM…じゃなくて、仮面ライダー鎧武(ガイム)に出てくる仮面ライダー龍玄(リュウゲン)の変身者・呉島光実役で知ったんです。闇落ちしちゃう役で、かなり難しい役どころだったんだけど、上手でね。良い意味で普通なんです。癖がある役でも、主人公の邪魔をしない存在感でスッと物語に馴染めるんです。(邪魔をしないだけで、存在感はあるんですよ!)

 

本作も、人生なんてどうでもいいや的な、やる気のなさそうな癖のある高校生役で。無駄に存在感が出てしまって、作品のノイズになりそうな危険性をはらんでいた役だったと思うんだけど、熱過ぎず冷め過ぎずといった感じで、吉岡里帆さんの邪魔にならずに、スッと寄り添う感じで存在感を放ってました。高杉真宙さんの真骨頂って感じでしたね。

 

なつめと春馬。吉岡里帆さんと高杉真宙さん。このバディは完璧なキャスティングだったと思います。

 

 

 

頼りなかった刑事ふたり

 

ここからは内容的な感想。

 

元警察官とはいえ盲目のなつめと普通の高校生の春馬の2人はすっげぇ頑張った!猟奇的変態殺人犯相手によく頑張った!

 

でもね、定年間近のベテラン刑事・木村とその相棒・吉野。この2人がちょっと頼りなかったわ…(ザンネン)。

 

なつめの目撃証言を信用していない警察の中で、木村だけが信じてくれて、共に捜査してくれて、なかなか信頼できる刑事なんです。犯人像を掴んだのはなつめなんだけど、最終的に犯人を特定したのは木村なんです。ここまでは、よかった。

 

でもね、定年間近のベテラン刑事が猟奇的変態殺人犯と思われる人間にひとりで会いに行っちゃダメ、絶対にダメ。女子高生の命がかかってるからスピード感が大事なのはわかるけど、ひとりは絶対にダメ。相手は人であって人じゃないんだから。

 

序盤で木村が吉野と定年後の話をしている時点でフラグは立っていたんだけど…

 

で、木村の相棒・吉野。イマイチやる気の無い刑事でなつめの目撃証言なんて全く信用しなかった吉野。

 

どこかで活躍するんだろうと観ていたんだけど…。犯人との最終決戦の場で、やってくれると思っていたけど…。まさかの返り討ち。(ヨワスギル)

 

頼りになりそうで頼りにならなくて、やってくれそうでやってくれないという、どこかのプロ野球チームの助っ人外国人みたいで(わかりにくい例え)、やや情けなかった刑事を演じた田口トモロヲさんと大倉孝二さん。さすがでしたよ。残念な刑事なんだけど存在感だけはあるっていうね。さすが名バイプレイヤー。

 

 

  

f:id:o40-designyu:20191003001845j:plain



 

緊迫の逃走シーン(ネタバレ)

 

本作のハイライト。地下鉄の駅構内で猟奇的変態殺人犯に追われるなつめが、ビデオ通話で春馬に逃走経路を指示してもらいながら逃げようとするが…という緊迫感ありまくりのシーン。

 

焦って逃げるなつめと、悠然と歩いて追いかける犯人。盲目というハンディキャップがあるし盲導犬パルも一緒だし、素早く動けないし隠れられないし。それをわかっていて、慌てずになつめ追い詰める恐ろしいほどに冷静な犯人。

 

この動と静の対比がより恐怖を煽るんです。もう、観てる僕の心臓はバクバク。

 

追いかけられるシーンって、ただでさえドキドキするのに、ここに盲目というスパイス(と言ったら失礼だけど)が加えられただけでこうも恐怖感が増幅するとは…。

 

で、何が怖いって、なつめが見えていないピンチが僕ら観客には見えているのが怖い。もうね、気が気じゃない。実際、なつめは犯人が堂々と待ち伏せていることに気づかず(目が見えないから当然なんだけど)、自ら犯人に近寄って行っちゃうシーンがあって(マジこわ)。スクリーンに向かって「ほらっ!目の前!犯人!」って教えたくなるんですよ。(ちなみにこのシーンで悲鳴を上げたお客さんがいました。その悲鳴に僕がビビる、みたいな。)逃げ切ったと思ったら目の前に犯人が…戦慄。

 

この地下鉄の駅構内でなつめが猟奇的変態殺人犯から逃げるシーンは、日本映画史上に残る名“恐怖”シーンだと秘かに思っております。

 

 

  

猟奇殺人犯との最終決戦(ネタバレ)

 

ここからはスーパーネタバレに入ります。

知りたくない方は引き返してくださいね。

 

 

 

なつめと猟奇的変態殺人犯が対峙する夜の別荘でのクライマックスは、地下鉄の駅構内での逃走シーンに輪をかけて怖かったです。震えるほどにドキドキしたし、死の恐怖を感じさせたし、思わず薄目で観ちゃうほどホラーだったし。

 

でも、地下鉄の駅構内でのシーンと明らかに違うのは、なつめが逃げるだけではなく、立ち向かったということ。そして、それが感動的にカッコ良かったということ。

 

犯人のアジトである別荘に乗り込むんだけど、どう考えてもなつめたち(春馬と吉野刑事の3人)は圧倒的に不利なんです。犯人は家の造り、間取りを知ってるんだから。

 

予想通り追い詰められるわけですよ。吉野はザクッとやられ、春馬はブスッと傷付き、残るのはなつめだけ。目は見えないし、犯人は猟奇的変態殺人犯だし、恐怖しかないんだけど、なつめは逃げずに勇気を振り絞って、そして頭を使って犯人を迎え撃つんです。(なつめはとにかく頭が切れる。)

 

目が見えないのにどうやって迎え撃つのかというと…漏電させてブレーカーを落として別荘を真っ暗にしちゃうんです。つまり、犯人を自分の“目の見えない”世界に引きずり込むんです。このしびれる展開に胸熱!

 

さらに、なつめはトラップを仕掛けて、見事犯人を仕留めるという激熱なラスト!

 

犯人って冷静で、ある意味頭も切れるんだけど、致命的な失敗と誤算があって。失敗だったのは、目が見えないから反撃を受けないと思ってなつめをナメていたということ。そして誤算だったのは、なつめは警察学校で訓練を受けてきた元警察官だったということ。

 

この犯人の失敗と誤算にプラスして、命の尊さを知っているなつめの執念が犯人を凌駕して、この結末を導いたんです。

 

 

 

良かったところや惜しかったところ

 

他に良かったところをザックリとあげておきますね。

 

猟奇的変態殺人犯に捕まって死の恐怖におののく女子高生を演じた若き女優さんたちの演技が迫真過ぎて素晴らしかったし、グロいシーンも多々あったけど違和感なく作品にに馴染んでいて良かったし(なんか語弊のある文章)、なつめが点字ブロックを頼りにパルと共に全力疾走して犯人から逃げるというアイデアは良かったし、亡くなった弟の形見であるシルバーアクセサリーが最後になつめを守ってくれたシーンには感動したし、盲導犬のパルがめちゃくちゃ可愛かったり…と、良かったところが盛りだくさん。

 

でも、惜しいところもあって。訳あり少女たちを救うというカリスマ的な救様(きゅうさま)の存在。結局なんだったの?っていうくらいに雑に扱われちゃって。救様のくだりは必要なかったんじゃね?って感じ。(救様っていうネーミングセンスは嫌いじゃないです。)

 

あとね、個人的にいちばん惜しかったのは、犯人が途中で何となくわかっちゃったってこと。犯人と思われる人物のセリフや行動とかで怪しむんじゃなくて、名の知れた俳優さんなのに出番があまりにも少な過ぎて怪しいという、違う角度から何となくわかってしまって。犯人当てを楽しむ作品ではないんだけど、もう少しわかりづらくしてくれたらよかったのになぁって思います。(明らかに浮いていたんだよね…。)

  

 

 

まとめ

 

冒頭の交通事故の悲劇からはじまり、猟奇的変態殺人犯との対決を制するラストまで、ずっと緊迫感があって(もうね、ホントにずっとです)…観終わったあとはぐったり。

 

でも、ひとりの女子高生の命を救い、そして、なつめ自身の人生にも光が差し込み、再生するという清々しいエンディングはとっても良かったです。

 

伏線回収も鮮やかで、特になつめの警察学校時代の何気ないあるシーンが、ラストの猟奇殺人犯との対決に生かされている点が感動的でした。なつめは元警察官だということを思い出させてくれる良いシーンでした。

 

そして何よりなつめを演じた吉岡里帆さんの演技が素晴らしかったです。吉岡里帆さんの元気ハツラツとしたイメージとは真逆のシリアスな演技、そして視覚障害者としての演技、脱帽です。

 

とっても面白いので、グロが大丈夫な方にはオススメ作品です!

 

 

 

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!

 

ではまた。