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映画『マザーレス・ブルックリン』【ネタバレ感想】エドワード・ノートン主演(&監督&脚本&製作)の古き良き犯罪映画。

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映画『マザーレス・ブルックリン』を観てきました!

 

エドワード・ノートン

ブルース・ウィリス

アレック・ボールドウィン

ウィレム・デフォー

 

…渋い。

 

では、いってみましょう。

 

 

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作品情報

公開日:2020年1月10日

監督:エドワード・ノートン

原作:ジョナサン・レセム

脚本:エドワード・ノートン

制作国:アメリカ

上映時間:144分

配給:ワーナー・ブラザース映画

 

 

キャスト

エドワード・ノートン:ライオネル・エスログ

ブルース・ウィリス:フランク・ミナ

ググ・バサ=ロー:ローラ

アレック・ボールドウィン:モーゼス

ウィレム・デフォー:ポール

ボビー・カナベイル

チェリー・ジョーンズ

マイケル・ケネス・ウィリアムズ

レスリー・マン

イーサン・サプリー

ダラス・ロバーツ

ジョシュ・パイス

ロバート・レイ・ウィズダム

フィッシャー・スティーブンス

 

 

予告


『マザーレス・ブルックリン』本予告

 

  

あらすじ

障害を抱えながらも驚異的な記憶力を持つ私立探偵のライオネル・エスログの人生の恩人であり、唯一の友人でもあるボスのフランク・ミナが殺害された。事件の真相を探るべく、エスログがハーレムのジャズクラブ、ブルックリンのスラム街と大都会の闇に迫っていく。わずかな手掛かり、天性の勘、そして行動力を頼りに事件を追うエスログがたどり着いたのは、腐敗した街でもっとも危険と称される黒幕の男だった。

(出典元:映画.com)

 

 

映画『マザーレス・ブルックリン』ネタバレ感想

古き良き映画

 

懐かしさを感じさせる古き良き映画、といった作品。なんて言うんだろう…「今日は何だか良い映画を観たなぁ」って余韻を感じさせてくれる作品。伝わります?

 

『アンタッチャブル』(1987年)のような『L.A.コンフィデンシャル』(1997年)のような大人の雰囲気が漂う、渋い!渋いぞ!って感じの作品。伝わります?

 

ウイスキーを片手に葉巻を吸いながら観たいと思わせてくれるジャズのような作品。伝わります?(これは伝わらんか…)

 

障害を抱えながらも驚異の記憶力を持つ私立探偵ライオネルが、友人でボスのフランクが殺害された事件の真相を追う、というお話。

 

正直、目新しさは無いです!(^^;;キッパリ。主人公が真相を探っていると何者かに襲われたり、事件の鍵を握る重要人物に会いに行くと殺されていたり、ヒロインと良い感じになったり、黒幕は街の権力者だったり…基本的によくあるパターンでよくある展開、よくある犯罪映画。

 

で、本作は犯罪映画ではあるんだけど、謎解きを楽しむ類の犯罪映画ではなくて、主人公ライオネルの生き様を中心に描かれた人間ドラマ…といった作品。

 

 

 

主人公ライオネル

 

主人公ライオネルが良いの。良いキャラクターなの。

 

障害を抱えているけど驚異的な記憶力を持つ探偵のライオネル。僕はてっきりTBSで放送されていたテレビドラマ『ATARU』(2012)の主人公アタルのような、サヴァン症候群で(その気配はあるけど)明らかに天才的で圧倒的な人間を想像していたんだけど全然違って。

 

ライオネルは天才的な記憶力でサクサク真相を究明していくようなスーパーヒーローではなくて、チック症を患っている繊細な男なんです。確かに記憶力は秀でてるし、その記憶力のお陰で事件の真相にたどり着くんだけど、彼の良さはそこじゃなくて。

 

コミュニケーションに不安を感じつつ、そんな自分を受け入れつつ、孤児だった自分を引き取ってくれたフランクに恩義を感じて生きているという、不器用で窮屈そうに生きている人間臭さが魅力の男でね。とっても心に染みるんだこれが。

 

 

 

チック症

 

ライオネルはチック症という障害を患っているので、自分の意思とは関係なく首を振ったり奇声を発したり思っている事を口に出したりしちゃう。(昨年大ヒットした『ジョーカー』の主人公アーサーも自分の意思とは関係なく笑ってしまうという、チック症を患ってましたね。)

 

ライオネルは緊張したり不安を感じたりするとチック症が顔を出して「イフッ!(もしも!)」って奇声を上げちゃうんだけど、障害なので可哀想ではあるんだけどそれがちょっとキュートで、会話の節々で顔を出すチック症がクスッと笑えて。(この「イフッ!」って言葉が作品のアクセントになるんだこれが。)

 

アーサーの<笑ってしまう>というチック症の症状は何となくわかる。彼の頭の中には常に「笑い」があったから。

 

じゃあ、ライオネルはなんで<イフ>なんだろう…って考えてみると、そこには彼の過去が関係しているのかなと。ライオネルは孤児だったので「もし自分に母親がいたら…」とか思ったり、チック症に嫌気がさして「もし自分に障害が無かったら…」とか思ったり、「もし…」「もし…」って幼少期から常に心の中で反芻してたのかも。だから常に心の中には「もしも」という言葉が住みついていて、不安や緊張があるとついつい「イフッ!(もしも!)」って出ちゃうのかなと。

 

チック症にはライオネルの心の奥に隠された不安や絶望、そして彼の繊細さが表れていて案外深い意味があるのかなぁ…なんて思ったり思わなかったり。

 

 

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エドワード・ノートン

 

そんなチック症を患う繊細な男・ライオネルを演じるエドワード・ノートンが素晴らしくて。そもそもなんで本作を観ようと思ったのかというと、犯罪映画が好みだということもあるけど、エドワード・ノートンを観たかったのが最大の理由でしてね。『ファイト・クラブ』(主演ブラピ)とか『レッド・ドラゴン』(『羊たちの沈黙』の前日譚)のエドワード・ノートンが大好きで。

 

久しぶりに出演作を見たけど…さすがでしたわ。神経質そうなエドワード・ノートンが繊細なライオネルを演じるなんてベストマッチじゃん!

 

エドワード・ノートンを観るだけでも本作は観る価値あり!です!

 

 

 

格差社会と必要悪

 

昨年の『ジョーカー』や今話題の『パラサイト半地下の家族』では格差社会の悲劇が描かれているんだけど、本作でも格差社会(人種差別含む)の悲劇が描かれていて。アプローチは違えど、結局のところは同じことを言っているなぁって思ったり。

 

強者(富裕層、権力者、白人)は弱者(貧困層、大衆、黒人)のことを気にしていないし、見えていないということ。

 

昔から格差社会や人種差別を描いた作品はあるけど、こうも続くと(っていうか僕が勝手に好んで観ているだけだけど)社会的に根深いものがあるんだなぁって改めて感じちゃってね。いい歳して今さらながら考えさせられちゃってね…。

 

黒幕であるモーゼスは間違いなく悪人、だと思う。区画整理のために住人を上手いこと騙して立ち退かせたわけだから。でもね、必要悪とまでは言えないかもしれないけど、彼の強引で卑怯な手法によって区画が整理され、街に橋が架かり発展したわけで。恩恵を受けた人々もいるわけで。何か大きな事を成し遂げるには犠牲はつきものではあるのかなぁ…って思う自分もいる。

 

モーゼスを見てるとアメリカ大統領のトランプを思い出しちゃう。個人的には嫌いだし危険だなぁなんて思うけど、彼の強引なまでのリーダーシップは時には必要なのかも…なんて思うときもある。

 

トランプのことを必要悪だと言うのはちょっと乱暴すぎるけど、近いものはあるよね。

  

 

 

まとめ 

もっとスピーディーにスマートにライオネルが事件を解決するのかと思いきや、案外そうでもなくて。

 

でもそれが功を奏して人間ドラマな犯罪映画に仕上がっていて、じっくりと落ち着いて観られたし、かなり満足度の高い作品でした。

 

奇想天外な物語やバッキバキのCG映像や超大作に食傷気味の方にはうってつけの作品だと思いましたよ。

 

「いや〜、映画って本当にいいものですね。」って、水野晴郎さんの気持ちが良く分かる作品。オススメです(o^^o)

 

 

 

おしまい。