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映画『冷たい熱帯魚』【ネタバレ感想】園子温監督作品。猟奇的夫婦でんでん&黒沢あすかの狂気は必見!(グロいです。)

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グロ満載で胸焼けする園子温監督作品。僕はノレませんでしたが、猟奇的な夫婦を演じたでんでん&黒沢あすかの狂気は出色で必見。

 

55点。

 

では、いってみましょう。

 

 

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作品情報

公開日:2011年1月29日

監督:園子温

脚本:園子温

   高橋ヨシキ

アクションデザイン:坂口拓

制作国:日本

上映時間:146分

配給:日活

 

 

キャスト

吹越満

でんでん

黒沢あすか

神楽坂恵

梶原ひかり

渡辺哲

ぺ・ジョンミョン

 

 

あらすじ

小さな熱帯魚店を営む社本の家庭では、年頃の娘が若い後妻に反発しており、そのため彼と妻との関係にも亀裂が生じていた。そんなある日、彼は娘が起こした万引き事件をきっかけに同業者の村田と知り合う。やがて村田の事業を手伝うことになった社本は、いつしか恐ろしい猟奇殺人事件に巻き込まれていく。

(出典元:映画.com)

 

 

映画『冷たい熱帯魚』ネタバレ感想

僕がノレなかった理由

 

園子温監督はいったい何を描きたかったのか、いったい何を伝えたかったのか…残念ながら僕には理解できませんでした。

 

理解できない僕が悪いのか、理解できない作品を作った園子温監督が悪いのか。

 

実話を元にした作品ということなので「似たようなおぞましい事件が過去にあったんですよ…恐ろしいですね!怖いですね!」っていうことを伝えたかった、ということでしたらそれは十分に伝わりましたけど…。

 

残念ながら僕はダメでした。面白くなかったというわけではないけど、納得できないところがありましてね…ノレませんでした。

 

 

 

本作の内容を思いっきりザックリと書くと、吹越満さん演じる社本が、でんでんさんと黒沢あすかさん演じる村田夫妻の「猟奇殺人」に巻き込まれて大変なことになっていく、というお話。

 

で、僕がノレなかった理由は、社本が村田夫妻の「猟奇殺人」を目の当たりにしているのに、なぜか警察にたれ込まず子分のように扱われ続ける、という点。

 

社本の娘が万引きをした際に、店側と話をつけてくれた村田には恩があったり、その娘が村田の熱帯魚店に住み込みで働いている→人質を取られているという状況であったり、完全にマウントされていて、動き辛いのはわかる。言いなりなってしまう気持ちもわからないではない。

 

でもさ、社本は死体を車に乗せたり、死体解体場所へ向かう際の運転手をしたり、解体現場で一仕事を終えた村田夫妻にコーヒーを入れたり、肉片を川に捨てたり(って死体解体場所とか肉片とかオレはいったい何を書いているんだ…)、諸々の作業を手伝わされつつ犯行の一部始終を目の当たりにしているわけで。

 

「警察にチクったら娘も切り刻むぞ!?」なんて脅されたり、バックにすっげぇ武闘派用心棒みたいな人間がいてビビらせたり(一応、用心棒みたいな人間はいるんだけど、渡辺哲さんなのよ。見た目は怖そうだしガタイもいいけど、もうおじいちゃん。その気になったらヒョロッとした吹越満さんでも何とかなるんじゃね?っていう)、社本自身が直接殺人に関与しちゃったり…とか、それなりに警察にたれ込めない理由があればまだしも、これといって何も無いのよ。

 

さらに、社本自身は特に監視や拘束されているわけでもなく、基本的には自由。自身の営んでいる熱帯魚店も営業できるし、ナイスバディな奥さん(神楽坂恵さん)と普通に生活もできる。フリーダム。

 

いつでも警察にたれ込めるという状況の緩さ、何でも言いなりになってしまう社本の人間性の描写不足が目についてしまって、どうにもこうにもノレなくて…。

 

で、さらに最悪なのが警察がすでに村田をマークしていたってこと。警察にたれ込まない社本に疑問を抱きつつも、村田夫妻の狂気ぶりに戦慄し、社本一家の絶望的な行く末を案じていたのに、警察の方から社本にアプローチしてきて一気に安心感が出てきちゃって緊張感が吹っ飛ぶという個人的には最悪な展開。

 

社本が警察に村田夫妻の件を話したら実はその警察は村田に買収されていてさらにピンチになるとかさ、頼みの警察も村田に殺されちゃうとかさ、絶望的な展開を見せてくれたらまだよかったけど、特に何も起こらず。

 

何のために警察を登場させたのよ…いらないよ警察…。

 

 

 

狂気のでんでん

 

作品としてはノレなかったものの、でんでんさん&黒沢あすかさんの演技には脱帽です。

 

まずは猟奇殺人犯の村田を演じたでんでんさん。もうさ、自治会に絶対1人はいるよなっていう、人の良さそうなお顔のでんでんさんが猟奇殺人犯を演じるだけで反則でしょ。絶対に怖いもん。ある意味ドーピングですよ。

 

あんな顔して(褒め言葉)さらに人の懐に入るのがうまいというか、相手を自分のペースに持っていくのがうまいというか、心を許してしまうような雰囲気を漂わせた抜群の演技をするわけですよ。

 

で、そんなでんでんさんが豹変して口調を荒げて社本を子分のように扱いだし、人を殺し、嬉々として死体を解体する狂気たるや。あまりのギャップに戦慄しますよ。

 

でんでんさんが猟奇殺人犯。可愛らしいのりピーがお薬をやっていたくらいのギャップと戦慄、と言ったら伝わりますかね。

 

 

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セクシー黒沢あすか

 

村田の奥さんを演じた黒沢あすかさん。これまた最高。ミステリアスでセクシー、というかエロい。

 

良い意味で、黒沢あすかさんて、ヒールのお顔をされているんですよね。ちょっと悪いことをしそうな危うさがある顔、というか。

 

だからでんでんさんのような、人殺しとして豹変するギャップの怖さというのは感じなかったんだけど(別に黒沢あすかさんが人を殺めそうな顔をしているとは言ってない)、社本に対するキツめの態度や見下すような冷めた視線が僕のM心を刺激するというか(ワタクシは何を言っているの?)、極道の妻感がダダ漏れでたまらなく色っぽいのよ。

 

確かに濡れ場があったから、より色っぽく艶っぽく映ったのかもしれないけど、共演の神楽坂恵さん(園子温監督の奥様でセクシーシーンあり)より断然色気がありました。

 

下着姿で楽しそうに死体を解体するシーンですらセクシーに見えちゃうんだから。

 

猟奇殺人犯夫婦を演じたでんでんさん&黒沢あすかさんの狂気の演技は出色でした。このお二人の演技は観る価値ありです。

  

 

 

グロ過ぎて色物映画の印象に

 

グロいシーンがかなりありまして。ここまでやりますか?っていうくらいにグロいです。やや食傷気味。

 

あまりにも直接的なグロさなので(包丁で切り刻んだり、肉片をビニール袋に詰め込んだり…とか書くこともはばかられるような)、そこはもう少し工夫があってもよかったような気がしますね。そのせいで、個人的にはちょっと色物映画のような印象になってしまいました。

 

直接的な表現じゃなくて、切り刻む音(やめて)や血だまりや恍惚の表情などで恐怖を想像させるような演出をして、グロいシーンを減らして、その上でなぜ猟奇殺人を犯すようになってしまったのかという村田夫妻の過去を描いたりすれば、もう少し映画らしい映画になったように思えて残念でなりません(って偉そうに)。

 

 

 

こんな人にオススメ!

 

グロが好き!三度の飯よりグロか好き!っていう方には絶対にオススメ。グロさにも色々あるけど、匂いが漂ってきそうなグロさです。なかなか強烈です。

 

グロが嫌いな方は間違っても観ないように…。

 

おしまい。

 

 

 

映画『冷たい熱帯魚』をもっと詳しく知りたい方へ

 

お前の感想じゃよくわからん!と、不満をお待ちの方に朗報。

 

映画紹介サイト『MIHOシネマ』さんで、映画『冷たい熱帯魚』が詳しく紹介されているので、本作をもっと詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。

 

 

mihocinema.com