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映画『透明人間』【ネタバレ感想】エリザベス・モス主演。現れても現れなくても怖いサスペンススリラー。

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最初から最後まで気が休まらない完成度の高いサスペンススリラー。『透明人間』というB級感丸出しの邦題に騙されてはダメ。傑作。

 

85点。

 

では、いってみましょう。

 

 

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作品情報

公開日:2020年7月10日

監督:リー・ワネル

製作:ジェイソン・ブラム

   カイリー・デュ・フレズネ

原案:リー・ワネル

脚本:リー・ワネル

制作国:アメリカ

上映時間:122分

配給:東宝東和

 

 

キャスト

エリザベス・モス

オリバー・ジャクソン=コーエン

オルディス・ホッジ

ストーム・リード

ハリエット・ダイア

マイケル・ドーマン

 

 

あらすじ

富豪の天才科学者エイドリアンに束縛される生活を送るセシリアは、ある夜、計画的に脱出を図る。悲しみに暮れるエイドリアンは手首を切って自殺し、莫大な財産の一部を彼女に残す。しかし、セシリアは彼の死を疑っていた。やがて彼女の周囲で不可解な出来事が次々と起こり、命まで脅かされるように。見えない何かに襲われていることを証明しようとするセシリアだったが……。

(出典元:映画.com)

 

 

映画『透明人間』ネタバレ感想

目に見えない恐怖

 

いやぁ、怖かったです…。『透明人間』というセンスのかけらもない邦題がB級っぽさを醸し出していたので、ちょっと不安な気持ちで鑑賞しましたが、クオリティの高いサスペンススリラーでした。こりゃあ、オススメできる。

 

透明人間の怖さ=目には見えないけど何か変、おかしい、という気配の恐怖が描かれるホラーテイストな序盤戦。透明人間が主人公セシリアを襲うバイオレンスでプレデターな中盤戦。透明人間の正体(であろう夫)と対峙する緊迫感あふれるサスペンスな終盤戦。

 

もうね、いろんな恐怖が次から次へとやってきて、最初から最後までずーっと気が休まらないんです。鑑賞後はめちゃくちゃ疲れました(褒め言葉)。

 

特に序盤の透明人間の気配を感じさせる演出がお見事で。セシリアの目の動きや怯える表情、視線の先を映し出すカメラワーク、静寂…などなど。シンプルな演出ではあるものの効果は絶大で、透明人間の気配や不穏な空気がビンビン伝わってくるんです。ビビりな僕の心拍数が上がる上がる。

 

透明人間の気配を植え付けられた僕はいいお客さんですわ。何気ないシーンでも常に透明人間の存在を意識してしまって「実は近くに透明人間いるんじゃね?襲ってくるんじゃね?」なんて思いながら勝手に緊張して勝手に身構えて勝手にドキドキしながら観ることに…。リー・ワネル監督の術中に見事にハマったという…。

 

リー・ワネル監督。『ソウ』シリーズの脚本を手掛けていただけあって、気配の演出と言いますか、雰囲気作りが実にうまいなぁと感じました。(まぁ、僕がただのビビりだったというだけかもしれないけど…。)

 

あ、そうそう。気配で思い出した。

気配って誰しも感じたことがあると思うんです。夜道をひとりで歩いている時、何気にテレビを観ている時や風呂場で頭を洗っている時に、ふと後ろに気配を感じたことって、ありますでしょ?(僕だけ?)で、後ろを振り向いても誰もいないことを確認してホッとする、みたいな。

 

でもね、これからは気配を感じた時は後ろではなく上を見てください。奴らは後ろにではなく、上にいるみたいですよ…。(まぁ、僕はビビリなので上を見たことは無いですけど。)

 

 

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目に見える恐怖

 

静かな序盤戦とはうってかわって、中盤以降は目に見えない恐怖が目に見える恐怖に変わるバイオレンスな展開に。

 

透明人間の気配は感じるものの、いつどこでどんな風に襲ってくるのかまったく予測できないから、常にビクついて観ることになってしまうビビりな僕。で、牙を剥いた透明人間の攻撃が陰湿な嫌がらせから殺人まで、バラエティに富んでいて、すっげぇ怖いのよ(ねちっこい人間性も怖い)。

 

何人もの人間が透明人間の前になす術なく死んでいく様はプレデターを彷彿とさせて戦慄しましたよ。透明人間の容赦ない襲撃は想像の斜め上をいきました。目を背けたくなるようなバイオレンス描写もあるので、血が苦手な人は要注意です。

 

 

 

透明人間の正体

 

透明人間による恐怖で僕の息が絶え絶えになったところで(ごめん大げさ)、セシリアと透明人間(=セシリアの夫)が対峙する終盤戦へ。派手な展開から一転して最後はサスペンスフルな心理戦に。

 

透明人間の正体は夫のエイドリアンなのか、エイドリアンじゃないのか、というせめぎ合いが見どころなんだけど、もうね、何が正解で何が真実なのか、わからなくなってくるんです。

 

というのも、実はこのセシリアとエイドリアンが対峙するシーンまで、エイドリアン本人はほぼ登場しないんです(顔が出てこない)。エイドリアンが透明人間だったという証拠(描写)がないのよ。

 

「透明人間はエイドリアンしか考えられない!」というセシリアの主観(思い込み)で展開されてきたことに終盤の終盤で気付かされるという僕の洞察力の無さにびっくりですわ。

 

「透明人間の正体は、本当にエイドリアンなの?」というそもそも論を突きつけてくるラストは非常に良かったです。何か最初からミスリードさせられていたような…。(透明人間はエイドリアンだという決定的な証拠やセリフが本編にあったらごめんなさい。僕は気付かなかったです…。)

 

 

 

最後に

 

透明人間の気配にビビり、バイオレンスな透明人間に慄き、最後は透明人間の正体に混乱し…そしてモヤっとしながら終わるという。もうね、しんどい。心も体も頭の中もしんどい。(褒め言葉)

 

よくよく考えると、単なる夫婦間のいざこざのお話なんだけどね。ここまで完成度の高いサスペンススリラーに昇華させるあたりはリー・ワネル監督にあっぱれを差し上げたいと思います。(偉そうに)

 

ちなみに『アス』のジェイソン・ブラムが製作に関わっています。なるほど、この完成度は納得です。(偉そうに)

 

おしまい。

 

 

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