映画『ランボー ラスト・ブラッド』【ネタバレ感想】孫娘ガブリエラの悲劇。ランボー最後の戦場は自宅!
ランボーも歳をとったなぁ…なんて時の流れを感じてしんみりしちゃいましたが、ランボーらしさが随所にみられ、普通に楽しめる快作。ですが、話の展開(ガブリエラのくだり)がヘビー過ぎてキツかったです。もう少しマイルドにしても良かったんじゃない?
75点。
では、いってみましょう。
作品情報
公開日:2020年6月26日
監督:エイドリアン・グランバーグ
原案:シルベスター・スタローン
脚本:マシュー・シラルニック
シルベスター・スタローン
制作国:アメリカ
上映時間:101分
配給:ギャガ
キャスト
シルベスター・スタローン
パス・ベガ
セルヒオ・ペリス=メンチェータ
アドリアナ・バラッザ
イベット・モンレアル
オスカル・ハエナダ
ジーニー・キム
ホアキン・コシオ
あらすじ
グリーンベレーの戦闘エリートとして活躍していたジョン・ランボーは、いまだベトナム戦争の悪夢にさいなまれていた。ランボーは祖国アメリカへと戻り、故郷のアリゾナの牧場で古い友人のマリア、その孫娘ガブリエラとともに平穏な日々を送っていた。しかし、ガブリエラがメキシコの人身売買カルテルに拉致されたことで、ランボーの穏やかだった日常が急転する。娘のように愛していたガブリエラ救出のため、ランボーはグリーンベレーで会得したさまざまなスキルを総動員し、戦闘準備をスタートさせる。
(出典元:映画.com)
映画『ランボー ラスト・ブラッド』ネタバレ感想
孫娘ガブリエラの悲劇
ジルベスター・スタローン主演の人気アクション映画『ランボー』シリーズ第5弾、『ランボー ラスト・ブラッド』。
「ラスト・ブラッド」ですからね。有終の美を飾るべく、ランボーが暴れに暴れて大暴れして、最後は「ランボー、今までお疲れさま」(遠い目)みたいな感動のフィナーレを迎えるのかと勝手に想像していたんですが、いやぁ、こんなに重々しい展開を見せて寂しいラストを迎えるだなんて…。
やられたらやりかえす、倍返しだ!っていうランボーの倍返しどころじゃない殺戮マシーンっぷりは激アツだったものの、もうね、そんなことよりランボーの孫娘ガブリエラがあまりにも不憫でして(涙)。
家族を捨てた父親に会いに行ったものの冷たくあしらわれる→友達に裏切られて人身売買組織に拉致られる→薬漬けにされる→ランボーに救出されたものの息を引き取る…っておい。あんまりじゃないか。17、8の女の子の死にざまとしては絶望的にひどい。『ランボー』は人が大量に死ぬ映画だと、そんなことはわかっているけどさ…堅気の、それも身内の悲劇的な死は堪えるわ。
いやね、わかりますよ。悲劇が大きければ大きいほど、怒りが大きければ大きいほどランボーが跳ねることくらい。復讐系映画の面白さは悲劇と怒りの大きさに比例しているといっても過言ではない、って個人的には思ってるし(言い過ぎかしら)。
とはいえ、ですよ。今回ばかりは悲劇の質が悪い。この世には美しい死なんてものは無いと思うけど、なんて言うんでしょう、せめて体は汚さないで欲しかったなぁって思うのは、僕が娘を持つ父親だからでしょうか。
悲劇と怒りのバランス
誤解を恐れずに言うと、僕はね、『ランボー』にドラマ性を期待してないんですよ。僕はね、これでもかというランボーの皆殺し大会を堪能したかっただけなんですよ。
それなのに、それなのに、ガブリエラの悲劇が想像以上に僕の心に食い込んできてしまって、要塞化した自宅でランボーが人身売買組織の連中を迎え撃つ!という本作最大の見せ場にもイマイチ乗れないという(ランボーの凄み良し!ゴア描写良し!だったのに…)。僕のダウナーな気分が最高潮に上がることなく、ランボー最後の血戦に没入しきれないまま終わるというこれまた悲劇…。
悲劇と怒りのパワーバランスが悪いと復讐系映画って心から楽しめないんですね…。本作のような悲劇>怒りのパターンだと悲しすぎて怒りに没入しづらいし、かといってジョン・ウィックのような悲劇<怒りのパターン(愛犬を殺されてマフィアに復讐)だとそんなに怒る?みたいな気持ちになって共感しづらい。バランスって大事だなぁなんて勉強になりました。
最後の戦場に自宅を選んだ理由
ランボーの最後の(?)戦場は自宅だったという点が非常に面白かったです。仇討ちとか復讐って、敵陣に乗り込んでぶっ潰すのが王道だと思うんです。でも、あえて相手を自宅で迎え撃つという発想が良かったし、その選択にランボーの凄みを感じました。
ランボーがガブリエラを救出に行ったものの人身売買組織の連中に捕まり、数十人にボコられる→瀕死の重傷を負ってしまうが女性ジャーナリストの手当てのおかげで命は取りとめる、という展開があるんです。この女性ジャーナリストとの出会いによって、ランボーは組織のことを詳しく知ることになるんだけど、実はこの出会いはさほど重要ではないと僕は思っていて(実際にこの女性ジャーナリストは思ったほど活躍はしない)。
ポイントなのは、ランボー自身が人身売買組織のアジトに乗り込んでボコられたことによって、組織のデータ=アジトの場所(地形)や組織の人数(戦力)をインプットできたということなんです。そして、そのデータと自分自身の戦闘能力や年齢的な衰えを比較分析し、分が悪い敵陣突撃より自宅迎撃を選択したんじゃないかな(って個人的には思う)。
数々の死線をくぐり抜けてきたランボーだからこその選択ですよ。敵陣に単独で乗り込むより、自宅で迎え撃つ方が確実に連中を皆殺しにできると判断したんでしょう。この冷静な分析力にランボーの凄みが凝縮されてるような気がしました。
本当にラストなのか?
要塞と化した自宅で人身売買組織の連中をキッチリと殺し切ってガブリエラの仇を討って、健在ぶりをみせたランボー。ランボーの勇姿が見られるのはこれで最後になってしまうとは、正直、寂しいです。
まだ続きそうな感じはちょっぴりしますが、エンドロールではランボーの懐かしの映像が流れたりしていたので(かなり感慨深いものが…)、本当に最後かもしれません。スタローンも74歳(2020年8月22日現在)ですからね…続編は体力的に厳しいかも。
個人的にはガブリエラが死ぬことなく、ハッピーエンドで完結して欲しかったところですが、ハッピーエンドどころかむしろバッドエンドじゃね?というモヤっとする結末がランボーらしいなと思ったり。
本作は一応ランボー完結編ということなので、全作品を記しておきますね。
『ランボー』(1982)
『ランボー/怒りの脱出』(1985)
『ランボー3/怒りのアフガン』(1988)
『ランボー/最後の戦場』(2008)
『ランボー ラスト・ブラッド』(2020)
おしまい。
映画『ランボー ラスト・ブラッド』をもっと詳しく知りたい方へ
お前の感想じゃよくわからん!と、不満をお待ちの方に朗報。
映画紹介サイト『MIHOシネマ』さんで、映画『ランボー ラスト・ブラッド』が詳しく紹介されているので、本作をもっと詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。