映画ドラえもん『のび太の月面探査記』【ネタバレ感想】人気作家・辻村深月脚本の大人も楽しめる月面大冒険!
映画ドラえもん『のび太の宇宙探査記』を娘(小2)と観てきました!
映画ドラえもん史上初の『月』を舞台にした物語。宇宙を舞台にした物語は過去にあったけど『月』を舞台にした物語は…確かにお初かも。
そして今作の脚本は人気作家の辻村深月さん。『月』繋がりですねぇ…関係ないか。
では、いってみましょう。
作品情報
公開日:2019年3月1日
監督:八鍬新之介
原作:藤子・F・不二雄
脚本:辻村深月
演出:岡野慎吾
山口晋
キャラクターデザイン:丸山宏一
音楽:服部隆之
主題歌:平井大「THE GIFT」
上映時間:111分
配給:東宝
キャスト(声の出演)
ドラえもん:水田わさび
のび太:大原めぐみ
しずか:かかずゆみ
ジャイアン:木村昴
スネ夫:関智一
ルカ:皆川純子
ルナ:広瀬アリス
キャンサー:中岡創一
クラブ:高橋茂雄
ゴダート:柳楽優弥
ディアボロ:吉田鋼太郎
カイア:酒井藍
あらすじ
月面探査機が捉えた白い影が大ニュースに。のび太はそれを「月のウサギだ!」と主張するが、みんなから笑われてしまう…。そこでドラえもんのひみつ道具<異説クラブメンバーズバッジ>を使って月の裏側にウサギ王国を作ることに。
そんなある日、不思議な少年・ルカが転校してきて、のび太たちと一緒にウサギ王国に行くことに。そこでのび太は偶然エスパルという不思議な力を持った子どもたちと出会う。
すっかり仲良くなったドラえもんたちとエスパルの前に謎の宇宙船が現れる。エスパルはみんな捕えられ、ドラえもんたちを助けるためにルカも捕まってしまう!
はたしてのび太たちはルカを助けることができるのか?
(出典元:『映画ドラえもん のび太の月面探査記』公式サイト)
映画ドラえもん『のび太の月面探査記』ネタバレ感想
異説クラブメンバーズバッジ
今作も安定の面白さ、安定の映画ドラえもんでした!
月面探査機がとらえた白い影をのび太は「月のウサギだ!」と主張するもののジャイアンやスネ夫たちにバカにされて「ドラえもぉーーーーんっ」って泣きつく定番の展開。いいね。
今回メインのひみつ道具は『異説クラブメンバーズバッジ』。このバッジを付けると『異説』の世界を体験できるんです。
例えば、今では地球は丸いというのは誰でも知っている定説、というか常識ですよね。でも、この『異説クラブメンバーズバッジ』を付けると、地球は平面だったと考えられていた『異説』を体験できるんです。平面の地球を体験できるんです。
今作『のび太の月面探査記』はVR(バーチャル・リアリティ)やAI(人工知能)を絡めた今どきの物語なんです。でもね、『異説クラブメンバーズバッジ』はドラえもんのコミックス23巻で登場しているんです。ドラえもんのコミックスは全45巻(1974年〜1996年)なので、23巻ってことは半分くらいだから…1985年くらいに登場したのかな(超単純計算ですが)。昭和の時代にVRの物語を描くなんて…やっぱり凄いな藤子・F・不二雄先生は。
ウサギ王国での楽しい時間
序盤戦は『異説クラブメンバーズバッジ』を使ってジャイアン、スネ夫、しずかちゃん、そして転校生のルカたちと月面のウサギ王国で思いっきり遊ぶという夢のあるドラえもんらしい展開で。僕の隣に座っていた娘はキラッキラした目でそのシーンを観てましたよ。おじさんの僕もキラッキラはしないまでもワクワクして心が弾んで、父娘共々見事に心を掴まれましたねー。さすがッス。
またウサギ王国のウサギ=ムービットが星のカービィみたいな(キャラをキャラで例えるなオレ)丸っこいキャラクターでとっても可愛くてね。ノビットと呼ばれるのび太に似たムービットもいたりして微笑ましいったらありゃしない。ちなみにノビットは後半戦で大活躍しますよ。
ディアボロに狙われる緊迫の展開
のび太くんがドジったおかげで、ルカの正体がわかることになります。『人間ではなくエスパル(という種族)』『エーテルという不思議な力を持っている』『年齢は1010歳』『寿命がない』などなど。
ルカやエスパルの仲間たちとも仲良くなったのび太たちは月面で楽しく過ごしていたんです。が、ここで悪い奴らの登場。エーテルを利用したいと考えているディアボロ(今作のラスボス)の部下が、突然エスパルたちを捕まえに来るという緊迫した展開に。
逃げるルカやエスパルの仲間たち!のび太たちも逃げる!が、続々と捕まる仲間たち!超緊迫!
ルカはのび太たちを月面に置いてあったどこでもドアで逃がします。が、捕まった仲間たちを残して逃げるわけにはいかない!ってことで自分は月に残ることを決意するんです。そしてどこでもドアの扉を閉めた瞬間にどこでもドアを破壊されるという絶望的状況に。どこでもドアが破壊されたってことはもう宇宙には行けない…。
大人の階段を上った感動の出発
ルカたちを助けたいけど、宇宙へ行く術がないのび太たち。でもドラえもんの事だからサクッとひみつ道具を出してサクッと宇宙へ行くのかと思いきや違ってね。
ルカが地球にやってきた時の宇宙船を改造して宇宙へ行こう!ってことになったんです。なんてことないシーンかもしれないけど、僕には刺さりましてね。要は知恵と工夫。ひみつ道具だけに頼らず、今あるものを利用して新たなものを作るリサイクル的な考えが良かったです。感心しちゃいました。
ドラえもんが小さい宇宙船をみんなが乗れるように改造するには少し時間がかかるので、一旦解散して、また集まろうということに。でも、ルカたちを助ける戦いは危険だから覚悟して集まろうってドラえもんがみんなに言うんですね。
そして集まる時、それぞれ覚悟を持って親には黙って家を出て行くんです。子を持つ親としては黙って行かないでちゃんと言ってくれよ相談してくれよって思うけど、自分たちで考えて行動することって成長に繋がると思うんですよね。大人の階段を一歩上った感動的なシーンでした。おじさん、泣きそうになっちゃった…。
いつも通りののび太と愉快な仲間たち
友情に厚いジャイアン(いつもより活躍の場面は少なかった気もしますが)、ブツブツ文句を言いながらもみんなについてくるスネ夫、いつでも入浴したがるしずかちゃん(入浴シーンあり。のび太さんのエッチ!は無し)。
そして相変わらずのドジっ子のび太くん。そんなのび太が今作最大の笑いを取りました!ドラえもんのひみつ道具をうまく使えずにのび太がスッポンポンに。僕も娘も大爆笑。もちろん他のお客さんも大爆笑。いったいいつからのび太くんは脱ぎキャラになったのかなぁ。完全に恒例化してるよね。
いつも通りの安定ののび太と愉快な仲間たちでした。
残念だった点
ラスボスのディアボロが実態のないAI(人工知能)だったという設定が残念でした。これからはAIの時代だ!って鼻息荒く世間は言っておりますが、AIのラスボス…迫力不足は否めなかったです。
声は大迫力でしたよ。だってディアボロの声は吉田鋼太郎さんだもん。声量半端ないです。さすがです。
でも実体のある悪者の方が子どもたちには伝わるのかなって思いました。AIのラスボスってピンと来ないと思いますね。子どもたちにとっては。『2001年宇宙の旅』のHAL(ハル)みたいに淡々と人を殺すようなAIだったら怖いけど…。
ルカたちエスパルの決意
ディアボロを倒し、お別れのシーン。
このままお別れするかと思いきや、ルカたちエスパルは異説マイクで永遠の命とエーテルを放棄するんです。
エスパルの心情を推測すると、のび太たちの友情に触れて地球人、人間に憧れを抱いたのかなって思うんです。エスパルものび太たち人間のように限りある命の中で一生懸命生きていきたいと強く思ったんじゃないのかなって思いますね。
そして、エーテルという不思議な力を持っていたから今回の騒動が起きたので、こんなことが起きるならエーテルなんていらんっ!って思ったんでしょうね。
ディアボロを倒してハッピーエンドなんだけど、スカッとしない心に何かが引っかかるような終わり方でした。映画の終わり方は賛否両論ありそうですね。いいね。
まとめ
SF大好きおじさんの僕にはとっても満足できる映画ドラえもんでした!鑑賞後は討論と言ったら大げさだけど、色んな感想や意見交換が出来そうな作品だと思います。
でもね、子どもたちにとっては少し難しかったかなと。異説のくだりや最後にエスパルが永遠の命を放棄するくだりとかは理解しにくいかも。かといって全てが子どもたちに理解できるように作るとそれはそれで緩いストーリーになりそうで。
少し大人寄りのストーリー展開だったと思うけど、トータルで考えるとバランスの取れた良作だったと思いますね。子どもたちが「??」なところは僕たち大人が補足してあげればいいのかなと。
誤解を恐れずに言うと、映画ドラえもんは子どもたちが楽しめたかどうかが1番重要で。ぶっちゃけ僕たち大人の感想なんて二の次三の次で(身も蓋もない)。そう言った意味では鑑賞後に「面白かったね!」って笑顔で僕に言ってくれた娘の率直な感想が全てかな。
では最後に、映画ドラえもん『のび太の月面探査記』主題歌、平井大/THE GIFT を聴いてお別れしましょう。とっても素敵な曲ですよ。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!
ではまた。