映画『Diner ダイナー』【ネタバレ感想】蜷川実花ワールド炸裂!妖艶な殺し屋たちが跳ねるアートな映画!
映画『Diner ダイナー』を観てきました!
蜷川実花監督作品。主演は藤原竜也さん。
殺し屋専用の食堂<ダイナー>のお話。
絶対濃ゆい映画になるよなぁ…なんて思いながら観に行ったらなんと!予想以上に濃ゆくて素敵な映画でしたよ!
では、いってみましょう。
作品情報
公開日:2019年7月5日
監督:蜷川実花
原作:平山夢明
脚本:後藤ひろひと
杉山嘉一
蜷川実花
エグゼクティブプロデューサー:伊藤響
プロデューサー:伊藤卓哉
甘木モリオ
食堂の装飾美術:横尾忠則
音楽:大沢伸一
主題歌:DAOKO × MIYAVI「千客万来」
配給:ワーナー・ブラザース映画
上映時間:117分
キャスト
藤原竜也:ボンベロ
玉城ティナ:オオバカナコ
窪田正孝:スキン
本郷奏多:キッド
武田真治:ブロ
斎藤工:カウボーイ
佐藤江梨子:ディーディー
金子ノブアキ:ブタオトコ
川栄李奈:旅行代理店女子
コムアイ:文学少女
内田健司:ソロ(狐)
前田公輝:アラーニャ(蜘蛛)
吉村界人:シンディ
板野友美:キャスター
真琴つばさ:荒烈屈巣(アレックス)
沙央くらま:雄澄華瑠(オスカル)
木村佳乃:スキンの母
蜷川幸雄:デルモニコ(肖像画)
角替和枝:カナコの祖母
品川徹:教授
小栗旬:マテバ
土屋アンナ:マリア
真矢ミキ:無礼図(ブレイズ)
奥田瑛二:コフィ
MEGUMI:歴代ウェイトレス
SHIHO:歴代ウェイトレス
エリイ:歴代ウェイトレス
マドモアゼル・ユリア:歴代ウェイトレス
AMIAYA:歴代ウェイトレス
中村里砂:歴代ウェイトレス
宮脇咲良:歴代ウェイトレス
予告
あらすじ
元殺し屋の天才シェフ、ボンベロが店主をつとめる殺し屋専用の食堂「ダイナー」。日給30万円の怪しいアルバイトに手を出したばかりに闇の組織に身売りされてしまった少女オオバカナコは、ボンベロに買われウェイトレスとして働くことに。ボンベロが「王」として君臨するダイナーには、全身傷だらけの孤高の殺し屋スキンや、子どものような姿をしたサイコキラーのキッド、不気味なスペイン語を操る筋肉自慢の荒くれ者のブロら、ひと癖もふた癖もある殺し屋たちが次々とやって来て……。
(出典元:映画.com)
ざっくりあらすじ
幼い頃、親に捨てられたオオバカナコは、日給30万円のヤバいアルバイトに手を出して、ヤバい奴らに捕まって、殺し屋専用のダイナー<食堂>にウェイトレスとして売られてしまうんです。オオバカナコ(大馬鹿な子?)って名前なんだけど、大馬鹿っていうかめっちゃ可哀想な子で。
殺し屋専用のダイナー<食堂>の店主は、元殺し屋で天才シェフのボンベロ。「俺は、ここの王だ。砂糖の一粒まで俺に従うぅぅ!」って豪語しちゃうくらいにオレ様な男。もちろんオオバカナコも絶対服従で。
そんなダイナーに凶悪な殺し屋たちが次から次へと現れ、殺し屋たちの壮絶な殺し合いにボンベロとオオバカナコの2人も巻き込まれていくって物語。
映画『Diner ダイナー』ネタバレ感想
蜷川実花監督満点!
色鮮やかで妖艶な世界観を持ったアーティスト、蜷川実花監督と、狂気的な殺し屋たちが訪れる食堂<ダイナー>での異様な世界を描いた平山夢明原作『Diner ダイナー』の組み合わせ。相性は良さそうだなぁなんて思ってましたが、想像以上にバッチリ合ってましたねー。
僕は原作小説は未読なんだけど、週刊ヤングジャンプで連載されていた漫画版『Diner ダイナー』を読んだことがあって。だから『Diner ダイナー』の世界観は何となく知っていて。
クールでSっ気たっぷりな元殺し屋で店主のボンベロと、ちょっとおバカで可愛いウェイトレスのカナコの師弟コンビ(?)を中心に物語が展開されていくんです。が、実のところ、『Diner ダイナー』の世界観を創り上げているのはボンベロ&カナコではなくて、次々と店にやってくる狂気的な殺し屋たちだと僕は思っていてね。
蜷川実花監督の世界観に狂気的な殺し屋たち、『Diner ダイナー』の世界観は感覚的にハマると思っていて。妖艶と狂気って案外近いところにあるんじゃないかなって…そんな感じしませんか?(って誰に聞いている?)
でね、思っていた通り見事にハマってました。蜷川実花ワールドに『Diner ダイナー』はビシッとハマってました。本作の色鮮やかで妖艶で芸術的な世界は、観ているだけでワクワクするし、ボンベロ、カナコ、そして狂気的な殺し屋たちがみんな艶っぽくてイケてるんです。
コアな『Diner ダイナー』ファンの方は本作をどう感じているのかはわからないけど…もうね、僕的には満点です。映画の面白さが満点…という意味ではなくて、蜷川実花監督の独自性を出しつつも『Diner ダイナー』の魅力を100%引き出したっていう意味での満点です。(奥歯に物が挟まったような言い方なのは自覚しておりますよ。)
どのような経緯で本作を蜷川実花監督が撮ることになったのかはわからないけど、蜷川実花監督と『Diner ダイナー』の組み合わせを思いついた人はファインプレーでしたね。
魅惑のキャラクターたち
本作の前半は、主人公のボンベロやヒロインのカナコ、狂気的な殺し屋たちのキャラクターをしっかりと見せて、食堂<ダイナー>の異様な雰囲気を僕ら観客に伝えるっていう感じの展開でしたね。濃ゆいキャラクターが満載でした。
ボンベロ
藤原竜也さん演じる主人公・ボンベロ。セクシーでカッコ良かったですねー。ロン毛の藤原竜也さんもイイですね。色気ムンムンって感じでした。
漫画だとクールでドSなイメージがあったけど、本作ではクールではあったけど、Sっ気が少なかったように思いましたね。もっとビッシビシとカナコを鍛え上げて欲しかったですね。藤原竜也さんって優しい顔つきだから、どうしても雰囲気が優しくなっちゃうんですよね。
オオバカナコ
本作のヒロイン、オオバカナコを演じた玉城ティナさんが抜群に良かったです!ウェイトレス姿のカナコが可愛くて可愛くてセクシーでおじさ…男子にはたまらんですよ。絶望してうずくまりながらシャワーを浴びるっていう、ちょっと可哀想なんだけど男子には嬉しいサービスシーンもあったりしてね(体張ってたありがとぅ!)。
玉城ティナさんは確かに良かったんだけど、キャラクター的に少し暗くて大人しすぎでしたね。漫画だともっと明るくておバカなイメージがあったような気がします。親に捨てられてお婆ちゃんに育てられたっていう設定に引っ張られ過ぎちゃった感はありました。
とはいえ、幸薄そうな演技と可愛らしいヴィジュアルで魅了した玉城ティナさんは本作最大の収穫ですね。今後の女優活動は要チェックですね!
スキン
窪田正孝さんのスキンはヤバかった!セクシーでめっちゃカッコよかったです。おそらく本作で一番カッコよかったキャラクターだと思いますよ。
出てくる殺し屋たちはみんなヤバそうな奴らばっかりなのに、顔は傷だらけなんだけどとっても繊細で紳士的で。カナコにも優しくて。でもその紳士的な雰囲気が逆に嵐の前の静けさ的な緊張感を生んでいて。
で、あることがトリガーとなってスキンは大興奮して狂ってしまうんだけど、それまでの紳士的な姿とのギャップがありすぎて。変貌したスキンも迫力があって狂気的で魅力的で。スキンの繊細さと狂気を窪田正孝さんがバッチリ演じ切ってました。
キッド
本当は大人なのに、全身整形を施して可愛らしい子供の姿をしている最上級にヤバい殺し屋キッド。笑いながら人を刺すっていう感じで、本作で一番狂っていて変態的な殺し屋ですね。言い方はよくないけど、キモいです。
本郷奏多さんがキッドを演じているんだけど、本郷奏多さんて綺麗な顔立ちなんだけど、ちょっと変態顔でもあるんですよね(ってめっちゃ失礼だけどいい意味で言ってますよ)。だから変態的なキッドに笑っちゃうくらいにハマっていて。
ちなみに顔は本郷奏多さんで体はCG加工されていて子供なんです。体が小さいんです。そのアンバランスな感じがまたキッドの不気味さを引き立てているんです。ぜひ皆さんに見て欲しいキャラクターですね、本郷奏多キッド。
殺し屋組織の跡目争い
ボンベロとカナコが殺し屋組織の跡目争いに巻き込まれるっていう展開の後半戦。
コフィ、無礼図(ブレイズ)、マリア、マテバの4人が死んだ組織のトップ・デルモニコ後釜を狙って争うんだけど、マテバがあっさりと死んじゃってね。えぇーっ!って感じであっさり水死体になっちゃうっていう(殺されるシーンすら無いという)。マテバ役は小栗旬。小栗旬の扱いが雑過ぎる…。
ちなみにコフィ役は奥田瑛二さん、ブレイズ役は真矢ミキさん、マリア役は土屋アンナさん。一癖も二癖もある役者さんでしょ。
その中でも奥田瑛二コフィが1番大物っぽくて曲者っぽい雰囲気で、何か仕掛けてくるのかなと思いきや普通にやられちゃってね。結構びっくり。
かなりセクシーだった土屋アンナマリア(書き方がややこしい)は、かなりイキってるんだけど、これまたサクッとやられちゃってね。
結局生き残ったのは真矢ミキ無礼図。この無礼図がまさに宝塚歌劇団男役!って感じの黒ずくめの出で立ちで。カッコいいんですわ。真矢ミキやっぱすげぇなと。
ちなみに無礼図に仕える部下、荒烈屈巣(アレックス)と雄澄華瑠(オスカル)をそれぞれ真琴つばささんと沙央くらまさんが演じるというね。宝塚歌劇団ファンの方にとっては垂涎モノのキャスティング。
で、この跡目争いに勝利した無礼図がボンベロに「あんた、わたしの元でダイナーやりなさい」みたいな事を言うんです。でもボンベロは「俺の雇い主はデルモニコだけだ」って突っぱねるんですね。「だったら殺してしまえっ!」って無礼図がボンベロを殺しにかかってクライマックスに突入!(セリフは正確ではありません)
ちょっとあっさりしてた感のある跡目争いでしたね。大どんでん返し的な驚きの展開も無くて、ちょっと物足りなさがありましたね。パリッと緊張感があっただけに、何かひと仕掛けがあればもっと印象的なシーンに化けそうな感じでしたが…惜しかったなぁ。
花びら散るクライマックス
ボンベロvs無礼図のクライマックスのアクションシーンは花びらが舞って散っての蜷川実花ワールド全開でした!
なんか、ずっと花びらが舞って散ってました。黒ずくめの荒烈屈巣(雄澄華瑠だっけな)が花びらの絨毯に倒れるシーンなんて圧巻でしたよ。いかにもっていうシーンなんだけど、やりきってくれるとなんだか気持ちが良いですよね。
このアクションすげぇ!っていうのは無かったですけど、美しいアクションシーンの連続で見入ってしまいました。僕は宝塚歌劇団については詳しくないんですけど、男前の真矢ミキさんの切れを見る限り、多少お年を召されてもこれだけやれるって、宝塚歌劇団の凄みを感じましたね。
残念だったキスシーン
ボンベロとカナコが無礼図に追い詰められていよいよ後がなくって…ってここまでは良かった。全編通してここまでは良かったんです。
で、ここからが「ん?」って思ったシーン。
無礼図に追い詰められてボンベロがカナコを逃がすんです。でね、ちょっとうろ覚えなんだけどカナコがボンベロに「死なないで」的な(「待ってる」だっけな)ことを言ってキスするんです。
あー、やっちゃったなと。キスしそうな雰囲気がありまくりだったけど、ここでキスシーンはあかん!キスシーンはあかん!って思ってたけどやってしまってね。
『Diner ダイナー』の異様な世界観をここまでしっかりと表現してくれてたのに、最後にまさかの「普通の」キスシーンを持ってくるのはちょっと残念でしたね。キスしようとするカナコを「お前、何様だ?」的な事を言って拒否しつつも「お前はもう自由だ」ってハグするくらいで終わらせて欲しかったところです。ボンベロのツンデレ感を残して欲しかったな。わかりやすい恋愛感情は封印して欲しかったな。
残念だったエピローグ
でね、エピローグ。
カナコはメキシコで食堂<ダイナー>をオープンさせているんですね。もちろん殺し屋専用ではなくて普通の食堂。
そこに生死不明だったボンベロが表れてハグしてハッピーエンドとなるんだけど…これもストレート過ぎやしないかい?って。
まあ、キスして別れてからの感動の再会って王道といえば王道のエピローグだと思うけど、王道の物語じゃないからね、『Diner ダイナー』って。
できればボンベロは再び殺し屋専用の食堂<ダイナー>を続けていて欲しかったな。で、新しいウェイトレスが登場してボンベロがこう言うんです。
「俺は、ここの王だ。砂糖の一粒まで俺に従うぅぅ!」
まとめ
蜷川実花監督の世界と『Diner ダイナー』の世界が見事に融合した素晴らしいアートな作品でした。店内の装飾や料理は色鮮やかで、登場するキャラクターたちは妖艶で、アクションシーンは美しくて…蜷川実花監督のこだわりを感じて、僕は好きな世界観でした。
殺し屋たちが暴れまわる映画なので、内容を求められるとちょっと厳しいですが、映像を見てるだけでも十分に楽しめます。映画『Diner ダイナー』の異様な世界観を味わってみてはいかがでしょうか。
僕はオススメしますよ!
おまけ(親子共演!)
蜷川実花監督のお父さんの蜷川幸雄さんが何者かに殺された組織のボス・デルモニコの肖像画で出演してました。親子共演!これをどう捉えるかは難しいところですが…笑っていいのかいけないのか。
でも、デルモニコが交通事故で死ぬシーンがあるんだけど、蜷川幸雄さんは亡くなっているのでデルモニコを演じることはできない。じゃあ、そのシーンは誰が演じたのかというと…まさかの井手らっきょさん(笑)。
蜷川幸雄さんの肖像画…笑ってもいいんだよね、多分。
では、映画『Diner ダイナー』の主題歌、DAOKO × MIYAVI「千客万来」を聴いてお別れしましょう。超カッコイイっす!
DAOKO × MIYAVI - 「千客万来」 Music Video(映画『Diner ダイナー』主題歌)
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!
ではまた。