映画『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』【ネタバレ感想】エンドゲームの後日譚。親愛なる隣人から真のヒーローへ!
映画『アベンジャーズ エンドゲーム』の後日譚を描いた『スパイダーマン ファー・フローム・ホーム』。もうね…抜群に面白かった!
全宇宙を巻き込んだ壮絶な死闘に自らの命を賭して終止符を打ったアイアンマン=トニー・スターク亡き後の世界。
壮大なエンドゲームの余韻を残しつつ物語は始まるのかと思いきや…スパイダーマン=ピーター・パーカーの夏休みのお話っていう、一気に身近で現実的な物語に。スパイダーマンらしく、青春SFラブコメアクションヒーロー映画に仕上がっていました!てんこ盛り!
では、いってみましょう。
作品情報
公開日:2019年6月28日
監督:ジョン・ワッツ
製作:ケビン・ファイギ
エイミー・パスカル
原作:スタン・リー
スティーブ・ディッコ
脚本:クリス・マッケーナ
エリック・ソマーズ
制作国:アメリカ
上映時間:135分
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
キャスト
トム・ホランド:ピーター・パーカー/スパイダーマン
サミュエル・L・ジャクソン:ニック・フューリー
ゼンデイヤ:ミシェル・“MJ”・ジョーンズ
コビー・スマルダース:マリア・ヒル
ジョン・ファブロー:ハッピー・ホーガン
J・B・スムーブ:デル先生
ジェイコブ・バタロン:ネッド
マーティン・スター:ハリントン先生
マリサ・トメイ:メイおばさん
ジェイク・ギレンホール:クエンティン・ベック/ミステリオ
アンガーリー・ライス:ベティ
トニー・レボロリ:フラッシュ
レミー・ハイ:ブラッド
ヌーマン・アチャル:ディミトリ
予告
『スパイダーマン』最新作、6・28“世界最速”公開決定! 映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』新予告
あらすじ
夏休みに学校の研修旅行でヨーロッパへ行くことになったピーターは、旅行中に思いを寄せるMJに告白しようと計画していた。最初の目的地であるベネチアに着いたピーターたちは水の都を満喫するが、そこに水を操るモンスターが出現。街は大混乱に陥るが、突如現れた謎のヒーロー、ミステリオが人々の危機を救う。さらに、ピーターの前には元「S.H.I.E.L.D.」長官でアベンジャーズを影から支えてきたニック・フューリーが現れ、ピーターをミステリオことベックに引き合わせる。ベックは、自分の世界を滅ぼした「エレメンタルズ」と呼ばれる自然の力を操る存在が、ピーターたちの世界にも現れたことを告げる。
(出典元:映画.com)
本作の意味合い
インフィニティ・ウォー〜エンドゲームって全宇宙、全人類を巻き込んだわけだから、ある意味究極の物語だったと思うんですね。そこで、アイアンマンは死に、キャップは引退してアベンジャーズは終わりを迎えたと。
でもちょっと角度を変えて考えると、アベンジャーズはエンドゲームで終わった、というか、壊したとも考えられるわけで。
スクラップアンドビルド。
アベンジャーズが今後どういう形で続くのかわからないけど、エンドゲームでアベンジャーズを一度壊したんですね。新しい物語を生み出すために。
でね、本作『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』はスクラップとビルドの間の物語だと思うんです。次のステップに行くための物語。リセットではなくて、ニュートラルに戻すための物語なのかなと。
それは物語をニュートラルに戻すだけではなくて、僕たち観る側の気持ちもニュートラルに戻すための物語なのかなと。
スパイダーマンとして戦う16歳の高校生ピーター・パーカーの青春や苦悩、そして成長を描く事によって、ヒーローって神様のような存在ではなくて、本来身近の存在だよな、希望の存在だよなって思わせてくれる原点回帰的な素晴らしいヒーロー映画となっていました。(導入のつもりがまとめみたいになっちゃった)
『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』ネタバレ感想
王道のスパイダーマン映画
学校主催の夏休みヨーロッパ研修旅行で大好きなMJと仲良くなりたい!何なら付き合いたい!これが本作のピーター最大のミッション。
そんな大事なミッション中なのに、巨大クリーチャー「エレメンタルズ」討伐のために、スパイダーマンの力を借りたいニック・フューリーが超強引に研修旅行に介入してくるんです。
研修旅行中に大好きなMJと仲良くなりたいけど、ヒーローとしてエレメンタルズに立ち向かわなくちゃいけないし、さらに異次元の世界からやってきた謎の新ヒーロー・ミステリオも登場して…
果たしてピーターの恋の行方は!?
スパイダーマンは巨大クリーチャー「エレメンタルズ」を倒せるのか!?
謎の新ヒーロー・ミステリオは敵なのか味方なのか!?
16歳の高校生ピーター・パーカーの青春と、ヒーローとしての心の葛藤を描いた、笑えて泣けないけど熱くなる王道のスパイダーマン映画!
MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)を知らなくても十分楽しめるエンターテイメント作品となっていますよ。(MCUを知っているともっと楽しめるのは言わずもがな)
トム・ホランドの魅力全開!
ピーター・パーカーを演じたトム・ホランドが本編ずっと魅力的で。
トム・ホランドって、背はそんなに高くないし、体つきは華奢だし(でも意外と細マッチョ)、顔は童顔で優しそうでね…なんか全体的に子どもっぽくて可愛く見えてちょっとズルいんですよね。いや、ズルくはないんだけど、可愛いって無敵なんだなって思いましてね。
MJと仲良くなるために研修旅行にスパイダースーツを持っていかなかったり(ヒーロー放棄!)、エレメンタルズ討伐をソーやキャプテン・マーベルに任せようとしたり、ヒーローとして未熟なところを見せるんです。そんな情けないピーターを可愛いトムホが演じると、妙に高校生としてのリアリティが出て「MJのことが好きなんだもんね。スパイダーマンをお休みしたいよね。うん、気持ちはわかる。」って納得しちゃうんですよ。なんかね、親目線で見守りたくなっちゃうんですよね。
でね、エレメンタルズやヴィランに立ち向かうべく、いざスパイダーマンに変身するって時は、可愛い顔つきからヒーローとしての引き締まった顔つきにビシッと変わるんですよね。その表情のギャップが大きくて大きくて、よりカッコ良く見えるんです!可愛いトムホだから成せる技ですね、これは。
スパイダーマンとして戦ってる最中は、スパイダーマンとピーターの姿を重ね合わせて見るわけで。華奢な体で可愛いトムホピーターが頑張っていると姿を見ると、見てる方は自然と力が入って応援しちゃうんですよね。危なっかしくて心配して見ちゃうんです。これまた完全に親目線。
ヒーローとは思えない情けない姿、スパイダーマンに切り替わる瞬間、スパイダーマンとして戦う姿…あとは大好きなMJと話す時のちょっと緊張した姿、はにかんだ表情とか、とにかく本編ずっとトムホピーターが魅力的に描かれています。
今後もトム・ホランド以外のピーター・パーカーは考えられないくらいハマリ役だと思いますね。それくらい素敵でしたよ。
謎の新ヒーロー・ミステリオ
異次元の世界からやってきたという敵か味方かわからない謎の新ヒーロー・ミステリオ。アイアンマン=トニー・スタークの後釜を匂わせてるのか、ヴィジュアル的に少しトニーに寄せてきてるような(そうでもない?)ミステリオ。
絶妙なキャラクターでしたね。登場からずっと不穏な雰囲気を纏っていて。巨大クリーチャー「エレメンタルズ」と戦ってる時は味方なのかなぁって思うんだけど、ふとした時に見せる表情の目の奥が澱んでるように見えたりしてね。
ミステリオを演じたジェイク・ギレンホールの醸し出す、ヒーロ然とした妙に余裕のある落ち着いた雰囲気のせいなのか、エンドゲームのすぐ後の作品でいきなり新ヒーローが出てくるか?っていう懐疑的な思いが僕にあったからなのか、とにかく中盤まで味方に思えたり敵に思えたり、ちょっと読めなかったな…。
あのニック・フューリーでさえ完全にミステリオを信じ切っちゃったてたし、ピーターも頼りにしちゃってたし。だから僕もミステリオは新ヒーローなのかなぁって思い始めちゃって。
そしたらね、めっちゃヴィランでした。
それも過去にトニー・スタークに冷遇されていた研究者だったという…。
前作『ホームカミング』のバルチャーもトニーのせいでヴィランに落ちたんですよね。2作続けてヴィランの原因はトニーだったという。そして尻拭いはピーターという。師匠の不始末(不始末ではないか)を弟子が尻拭いするっていう笑えない状況っていうね。なんだかな…。
マッチポンプ(自作自演)
ミステリオの目的はトニーがピーターに遺した「イーディス」という人工知能を奪うことだったんです。
実は巨大クリーチャー「エレメンタルズ」は複数の投影機を使ったホログラムだったんですね。その実体のないホログラム=エレメンタルズをクエンティン・ベックという男が演じたヒーロー・ミステリオが倒す。つまりマッチポンプ。で、ピーターやニック・フューリーたちをがっつりと信じ込ませたところで「イーディス」を奪うと。
ヴィランじゃねえの?って疑いつつも最終的には僕もがっつりと信じ込んじゃいましたよ。だって頼り甲斐があるんだもの。ミステリオがヴィランだってわかった時はびっくりして鳥肌が立ちましたよ。と、同時にひでぇ奴だなと。
自分はアイアンマンみたいなスーパーヒーローにはなれないって落ち込んだ可愛いピーターを騙すとはね。なかなかのクズヴィランでしたね。
でも、ヒーロー映画の鉄則として、ヴィランが輝くと(酷ければ酷いほど)ヒーローはより輝くんですよね。
ミステリオは強かった!
スパイダーマンvsミステリオ。
ミステリオが強かった!というより、ベックの繰り出すホログラムに大苦戦を強いられたスパイダーマン。本物のニック・フューリーだと思ったらホログラムだったり、本物のビルかと思ったらホログラムだったり。ホログラムに撹乱されて、しまいには電車に轢かれちゃうし(でも生きてたよ!)。
観てるこっちも何がなんだか…どれが本物でどれがホログラムかわからなくて目まぐるしくてね。次はどう来るのかっていう緊張感もあって、映像的にも面白くて見応え十分のバトルシーンでした!
ベックはかなり歪んでいて不敵で感じ悪くてクズでね。ヴィランとしての存在感は抜群だったので、本作で退場するにはちょっと勿体無いようなキャラでしたねー。
ピーターとMJの恋の行方
研修旅行中にMJと仲良くなりたいけどいろんな障害(特にニック・フューリーね)があってなかなかうまくいかないピーター。それでも正体を隠しながらスパイダーマンとして戦うピーターはヒーロー然としてとってもカッコ良くてね。
そんな頑張っているピーターをMJはしっかり見ていて、ピーターをスパイダーマンだと実は見抜いていたという。ピーターの動きが怪しいから見ていたんじゃなくて(それもあると思うけど)、ピーターのことを好きだから見ていたんですよ、多分。もうね、キュンキュンしちゃうでしょ?実は両想いだったというこの王道と言えば王道の展開はたまらなく良かったですね。
スパイダースーツを着たまま、マスクだけを外した「高校生ヒーローとしての本当のピーター・パーカー」とMJのキスシーンは感動的でセクシーでとっても素敵だったな。自分の恋より他人の命を優先して体を張ってきたピーターが報われて本当に本当に良いシーンでね(涙)。
今後の展開
ミステリオも倒して、MJとの恋もうまくいって一件落着だと思いきや…エンドロール後にすっごい展開が。すっごい展開が。
まずは、スパイダーマンの正体がピーター・パーカーであることがベックの死の直前の映像によって暴露されてしまうんです!(高層ビルの巨大スクリーンに流れちゃったの!)「親愛なる隣人」でいられなくなってしまうことに…!?
そして、ピーターの研修旅行を見事にかき回してくれたニック・フューリーが実はスクラル人のタロスだったんです!タロスがニック・フューリーに擬態してたんです!本編中ずっとニック・フューリーはタロスだったというわけ。で、本物のニック・フューリーは宇宙にいたというまさかの展開。ニック・フューリーがタロスに変わった時は一瞬何が起こったのかわかりませんでした…。
このふたつのビックリな展開。いったいどういうこと?って感じなんだけど、僕の勝手な今後の予想をちょっと聞いて。
スパイダーマンの正体を暴露した張本人はニック・フューリーだと思っていて。で、ベックの暴露映像はフェイク映像なんじゃないかな。映像にうつっているベックは擬態したタロスだったりして。スパイダーマンを「親愛なる隣人」から「真のヒーロー」にさせるために。ネクストアイアンマンにさせるために強行手段に出たんじゃないのかなって。ニック・フューリーならやりかねないでしょ?
で、本物のニック・フューリーは宇宙にいるってこと、そしてタロスが絡んでいるってことは、次の舞台は宇宙ってことなのかな。ニック・フューリーとタロスのコンビが出てきたってことは、キャプテン・マーベルが絡んでくるよね。さらにそこにネクストアイアンマン=スパイダーマンも参戦して…次世代MCUの最初の作品はズバリ『キャプテン・マーベル × スパイダーマン』だ!(なんのこっちゃ)
まとめ
エンドゲームの後日譚『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』。まさに王道のスパイダーマン映画で最高に面白かったです。
もちろんエンドゲームと比べることはナンセンスなのは重々承知の助ですが、エンドゲームに負けず劣らずの素晴らしい作品でした。(エンドゲーム後の世界をマルっと収めたあたりはさすがでしたマーベルさん。)
なんか上から目線で申し訳ないですが、今後のMCUに広がりを感じさせる、伸び代を感じさせる作品でしたね。もうね、期待しかない!
そして本作『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』はオススメですよ!
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!
ではまた。