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映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』【ネタバレ感想】魔王ミルドラースの正体は?酷評の嵐?賛否両論の戦慄のラスト!

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映画『ドラゴンクエスト  ユア・ストーリー』を観てきました!

 

なかなかの酷評っぷりで、どんな作品に仕上がっているのか、これは観なくては!ってことで、不安と期待が入り混じった複雑な気持ちで劇場に行ってまいりました。

 

うん。まあ、そういうことね。 

 

では、いってみましょう。

 

 

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作品情報

公開日:2019年8月2日

総監督:山崎貴

監督:八木竜一

   花房真

原作:堀井雄二

脚本:山崎貴

監修:堀井雄二

音楽:すぎやまこういち

配給:東宝

上映時間:103分

 

キャスト(声の出演)

リュカ:佐藤健

ビアンカ:有村架純

フローラ:波瑠

ヘンリー:坂口健太郎

パパス:山田孝之

サンチョ:ケンドーコバヤシ

プサン:安田顕

プオーン:古田新太

ルドマン:松尾スズキ

スラりん:山寺宏一

ミルドラース:井浦新

マーサ:賀来千香子

ゲマ:吉田鋼太郎 

 

予告 


「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」予告②

  

あらすじ

少年リュカはゲマ率いる魔物たちに連れ去られた母マーサを取り戻すため、父パパスと旅を続けていた。しかし、道中での魔物たちとの激闘により、パパスはリュカの目の前で非業の死を遂げてしまう。それから10年後、故郷に戻ったリュカは「天空のつるぎと勇者を探し出せば、母を救うことができる」と書かれた父の日記を発見。パパスの遺志を受け継ぎ、冒険へと旅立つ。

(出典元:映画.com)

 

大前提として 

まず大前提として、僕は『ドラゴンクエストIII  そして伝説へ…(1988)』までしかプレイしていないってこと。それ以降のドラクエはタイトルくらいしか知りません(デモやCMは見たことある)。ノープレイです。

 

だから本作『ドラゴンクエスト  ユア・ストーリー』の原案となった『ドラゴンクエストⅤ  天空の花嫁』の内容は、ほぼほぼ知らないまま本編を観ました。

 

ドラクエIIIまでしかプレイしていないおじさんが観たドラクエ映画の感想です。

    

映画『ドラゴンクエスト  ユア・ストーリー』ネタバレ感想

魅力的なドラクエの世界

 

冒険を彩る木々や山々などの壮大な風景、可愛らしいキャラクターたち、イカついモンスターたち、そして白熱のバトルシーンなど…美しい3DCGで描かれたドラクエの世界にガッツリと引き込まれて、とっても楽しめました!

 

戦慄のラストシーンまでは…。

 

まぁ、その件はとりあえず置いといて(後述します)、ドラクエの映画としては十分過ぎるほどに面白かったです。

 

ドラクエIII以来、久しぶりに触れたドラクエの世界。勇者やら魔王やら剣(つるぎ)やら薬草やら懐かしい単語を聞くだけでもテンションは上がったし、さらに映像も美しいときたらそりゃあ、40歳過ぎのおじさんだってワクワクが止まりませんよ。

 

でね、映画『STAND BY ME ドラえもん』の制作に関わった3人(山崎貴監督、八木竜一監督(共同監督)、アートディレクションを務めた花房真さん)が総監督と監督っていう立場で本作に関わっているので、何となく『STAND BY ME ドラえもん』の3DCGの絵のタッチと本作『ドラクエ〜』の絵のタッチが似てるんですね。ま、当然か。

 

既視感があったおかげで、3DCGが変なノイズにならなくて、すんなりドラクエの世界に入っていけたのは大きかったです。安心感がありましたね。

 

3DCGで描かれたキャラクターは(ちょっと癖のある絵だけど)良い意味でゲームの世界から飛び出してきた感じで、ドラクエの世界にはバッチリ合っていたと思います。『STAND BY ME ドラえもん』を観て、キャラクターに違和感を感じた人にはちょっと厳しいかもしれないですね…。

 

なんにせよ、ドラクエの世界観は十分に描かれていたと思うし(ドラクエIIIまでしかプレイしていないけど、ドラクエⅤを知らないけど)終始楽しく観られました。

 

戦慄のラストシーンまでは…。(2回目)

  

 

 

魅力的なキャラクターたち  

 

主人公リュカ。何とも頼りなくてヒーローっぽくなくてね。はじめっから勇気ビンビンでイケイケどんどんな男の子だったら感情移入しづらかったと思うんだけど、リュカってスペシャルじゃなくてあまりにも普通な男の子だから応援したくなるんですよね。ゲマを筆頭に出てくるモンスターたちがみんな怖いビジュアルで強そうだから余計に心配して応援したくなっちゃう。だって負けそうなんだもん。

 

そんな頼りなかったリュカも結婚して親になり、最終的に母マーサを助けるため、ゲマに戦いを挑むまでに成長するという、ひとりの男としての成長も(駆け足ではあるけど)描かれていて僕は胸熱でした。

 

途中、天空の勇者ってリュカなんじゃね?って感じになって、リュカもその気になっていたのに、実はリュカは天空の勇者じゃなかった…というちょっとした辱めを受けたシーンは可哀想でしたね。あの子はお前のことが好きみたいだから告白したら絶対にうまくいくぜって周りの友人に煽られて告白したら普通に振られた感じ(わかりづらいか)。天空の剣を股に挟んで必死に鞘から剣を抜こうとしてたリュカは可愛くて笑っちゃった。

 

リュカの声は佐藤健さん。バッチリでしたね。リュカの頼りなさや男らしさ、そしてコミカルさを上手く表現できていてとっても素晴らしかったです(上から目線)。イケメンだし演技もうまいし声優もできちゃう。本作をもって天は三物を与えたことが確定しました。

 

花嫁候補のフローラとビアンカ。ドラクエⅤだと、どちらかを選ぶんでしょ?(って誰に聞いてる?)。これは悩む。だって2人とも可愛いから。

 

大富豪の娘フローラ。お嬢様なのにまったくお高くとまってなくてね。婚約者となったリュカの心の中にビアンカがいることがわかって、自ら身を引くというなんとも心優しい女性で。ドラクエⅤではフローラ派が多かったんじゃないの??

 

本作ではリュカと結婚する幼馴染みのビアンカ。女性らしいフローラとは真逆のタイプで、言いたい事をズバッと言っちゃうようなチャキチャキした女性。僕はね、ビアンカの方が好き(誰も聞いてない)。あんまり気を使わなくて済みそうだし、お互い言いたい事も言えそうだし楽しそうだし(マジ回答)。

 

フローラの声を波瑠さんビアンカの声を有村架純さん。僕のイメージではキャラクター的に有村架純さんがフローラで、波瑠さんがビアンカって感じがしていたんです。逆じゃね?って。でもね、2人とも役の声に合ってました。特に有村架純ビアンカは良かったです。あんまりイメージにないチャキチャキした男勝りな有村架純さんのセリフが聴けるのは貴重かも。必聴ですよ。

 

パパスとマーサの命を奪ったゲマも良かった。こいつがね、ムカつくほどに強いんです(顔もムカつくけど)。強いヴィランって本当に魅力的なんですよね。ヴィランが輝けば輝くほど物語って面白くなるんです。これ絶対。

 

ゲマの声は吉田鋼太郎さん。もうね、間違いない。俳優さんの中でヴィランの声をやらせたら、いちばん上手いんじゃないですかね。そういえば、直近のドラえもんの映画でもヴィランの声を演じていましたよね…。

 

今後、性格の悪そうなヴィランの声は吉田鋼太郎さんか中尾隆聖さん(フリーザの声優さん)に任せておけば間違いないっすね。(ヴィランはみんな性格悪いか…)

 

 

 

印象的な胸熱シーン

 

僕が印象に残った胸熱シーンをサクッと書いておきますよ。

 

序盤にリュカの目の前でパパスがゲマに殺されるシーンはかなりキツかったし(パパスの無念さを思うと泣ける)、アルスが生まれた後にリュカとビアンカの住処をゲマたちが急襲したシーンは戦慄だったし(リュカが石化した時にはバッドエンドが頭を過ぎった)、クライマックスでのバトルに助っ人としてヘンリーが参戦してきたシーンは興奮したし(っていうか助けに来るの遅くね?って感じだったけどね)、要所要所で胸熱シーンを放り込んできてくれました。

 

でもね、僕のいちばんの胸熱シーンはアルスが天空の剣を抜いたシーン。アルスが天空の勇者ってことは流れ的に何となくわかっていたので「実はアルスが天空の勇者だったんだ!びっくり!」ってことで胸熱になったわけじゃなくて、鞘から剣を抜いた描写が胸熱でね。

 

剣を抜くとともに鞘の装飾がスローモーションで剥がれていく描写がたまらなくカッコよくて(マニアックかな…)。こういうディテールにこだわる姿勢は好感度高いです。このシーンはもう一度観たいな。

 

 

 

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残念だったマーサの扱い

 

残念だったと思うところも書いておきますよ。 

 

ビアンカがリュカの幼馴染みだったという描写が無かったので(文字としてはあったかな?)リュカとビアンカの関係性がイマイチしっくりこなかったり、フローラとの婚約を破棄してすぐにビアンカにプロポーズしちゃうというリュカの節操のなさに若干のイラつきを覚えたりしたけど、いちばん残念だったのは母マーサの描かれ方かな。

 

魔王ミルドラース復活を防ぐための冒険っていうより、母マーサ救出のための冒険なんですよね。マーサを救出すればミルドラースは復活しないから結果的には同じことなんだけど。

 

であれば、序盤でマーサとリュカのシーンをビシッと入れて欲しかったなと。そこが薄いからリュカのマーサへの想いが僕にはあまり伝わってこなくて、そこに感情移入はしづらかったですね。

 

せっかくダイジェスト的にどんどん物語が進んでいく展開は個人的には嫌いじゃなかったし、変に間延びしたり、スピード感が失われるくらいならサクサク進んで良いなって思っていたので、マーサとリュカ(とパパス)のシーンもダイジェスト的にねじ込んで欲しかったなと。2、3分くらいで十分伝わるので、家族のシーンは描いて欲しかったな。そこをちょっと描くだけでも感情移入度が上がったのになぁって。ちょっと残念でした。

 

 

 

戦慄のクライマックス

 

戦慄の、そしてショッキングなクライマックスでした…。

 

ゲマを倒して魔王ミルドラース復活を阻止すべく、アルスが魔界の扉に天空の剣を投げ込んだ瞬間…映像が止まるんです。「??」と同時に僕の思考も止まるという。

 

で、魔界の扉から出てきたミルドラース。実はミルドラースは魔王じゃなくてコンピューターウイルスだったんです!(ホェ?)その影響で映像が止まっちゃったんです。ビジュアルは、あまりにもショッキング過ぎてちゃんとは覚えてないけど、魔王っていうよりは魔人ブウをシュッとさせて目を大きくさせた感じ?(もはや魔人ブウでは無いけど)。違ったかな(^^;;

 

なぜか常にリュカの近くにいたスライムのスラりんの正体がアンチウイルスだったというこれまた何のこっちゃの展開。

 

要はある少年が主人公リュカとしてVR(仮想現実)でRPGを楽しんでいたっていうオチだったんですね。本作は「ドラクエの世界を描いた壮大な冒険映画」ではなくて、「ドラクエのゲームを描いた映画」だったってこと。全然壮大じゃねえし、こんなのを観たかったんじゃねぇ…。

 

うーん、これはダメですよね。騙された感がハンパなかったです。夢落ちより酷い。映画史上稀に見る全く効果的じゃない大どんでん返し…。

 

確かに映画冒頭にドラクエ(Ⅴ?)の画面が出てきましたよ。懐かしい感じの画面が。そのシーンがこれから始まるのはゲームの中での物語ですよ、っていうことを僕ら観客にアナウンスしたつもりなのかもしれないけど…わかりづらいわ。

 

映像も良かったしキャラクターも良かったしテンポもめちゃめちゃ良かったし(ダイジェスト風だったからね)、ドラクエの世界観がビシッと描かれていて、ワクワクしてとっても面白かったのに…ラストの展開があまりにも残念過ぎました。ミルドラースを倒した後に訪れた平和な世界でのリュカとビアンカとアルスたち家族のシーンを観て、僕はいったい何を思ったらいいの…。感動を返して。

 

このラストの展開を(山崎貴総監督を)誰も止めようとはしなかったんですかね。いやいやいや、これは違いますよと。みんなこんなラストは望んでませんよと。ドラクエをメタ的に扱っても誰も喜びませんよと。

 

ミルドラースがリュカに「いつまでもゲームなんてやってるんじゃねぇ!大人になれ!」みたいな事を言うんですよね、確か。(あまりにもショッキング過ぎてセリフをよく覚えてないのでこんな雰囲気だった気がする。)ミルドラースがコンピューターウイルスだったっていう展開だけでも十分興醒めだったのに、このセリフも乱暴過ぎね?山崎貴総監督はゲーム嫌いなのかな?

 

僕らにいったい何を言いたかったんですかね。

 

僕らにいったい何を伝えたかったんですかね。

  

 

 

まとめ 

実に惜しい!ラストシーンまで面白かったのに…実に惜しい!

 

っていうのが率直な感想。

 

ドラクエⅤをプレイしたことのある人やドラクエファンにとっては、もしかしたらラストシーン以外にも残念なシーンや許せないシーンがあったかもしれません。ダイジェストのようにサクサクと展開される物語に物足りなさを感じたかもしれません。カットされた設定やイベントもあったことでしょう。

 

でもね、ドラクエガチ勢じゃない僕はかなり楽しめたんです。正直、観ていてワクワクしたんです。

 

だからこそですよ。なんでこんなラストにしてしまったのか。なんで普通に魔王ミルドラースを登場させて、熱いバトルシーンを描かなかったのか。なんでビシッと決着させなかったのか。謎です…。

 

たったワンシーンで僕の評価はガタ落ちしてしまいました。個人的には『僕だけがいない街(2016年/主演藤原竜也)』以来のガッカリなラストシーンでした。

 

ただ、僕にとっての救いは「またドラクエやってみたいなぁ」って思えたことです。ラストシーンのおかげで(せいで)感動は宇宙の彼方へ高速で飛んで行ってしまいましたが、ドラクエを楽しんでいた子どもの頃の気待ちが蘇ったのも事実としてあって。そこは感謝。

 

できればドラクエⅤをやってビアンカと結婚したいので(そこかよ)、Switch版ドラクエⅤを発売して欲しいなと切に願う今日この頃です。

 

 

 

 

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!

 

ではまた。