映画『来る』感想&考察!中島哲也監督作品。人間の闇を絡めたホラー映画!(ネタバレあり)
『告白』の中島哲也監督のホラー映画『来る』を見てきました!
ホラー映画ならではの徐々に何かが迫って来る恐さはもちろんのこと、突然「ドンッ!」と来る音響的な恐さもあり、腕がちぎれたり胴体が切り離されたり(ちょいグロ)…血しぶきなどのビジュアル的な恐さもありました(血の描写多めです…)。
そこに中島哲也監督の映像美+お得意の?人間の闇を絡めながら展開されるスピード感あふれるエンターテインメントホラームービー。とっても面白かったですよ!
作品情報
公開日:2018年12月7日
監督:中島哲也
原作:澤村伊智
脚本:中島哲也、岩井秀人、門間宣裕
製作:市川南
企画・プロデュース:川村元気
配給:東宝
上映時間:134分
映倫区分:PG12
キャスト
野崎和浩:岡田准一
田原香奈:黒木華
比嘉真琴:小松菜奈
比嘉琴子:松たか子
田原秀樹:妻夫木聡
津田大吾:青木崇高
逢坂セツ子:柴田理恵
高梨重明:太賀
スーパーの店長:伊集院光
あらすじ
香奈(黒木華)との結婚式を終え、幸せな新婚生活を送る田原秀樹(妻夫木聡)が勤める会社に謎の訪問者が現れる。取り次いだ後輩の伝言は「チサさんの件で」とのことだったが、秀樹の脳裏に疑問がよぎる。チサとは、妊娠した香奈と喜び勇んでつけたばかりの娘・知紗の名で、まだ二人しか知らないはずであった。結局、訪問者の正体はわからぬまま、“それ”と会話した後輩は謎の死を遂げる……。2年後。イクメンパパとして知紗を溺愛する秀樹の周囲で、超常現象としか言いようのない怪異な出来事が相次いで起こり始める。何かに狙われているのではないかと恐れた秀樹は、オカルトライターの野崎(岡田准一)と、霊媒師の血をひくキャバ嬢・真琴(小松菜奈)とともに調査を開始。だが、田原家に憑いている“何か”は想像をはるかに超えた強大なモノだった。民族学者・津田(青木崇高)によると、その“何か”とは、田原家の故郷の民族伝承に由来する化け物ではないかという。そんななか、真琴の姉で、国内最強の霊媒師・琴子(松たか子)の呼びかけで、全国から猛者たちが次々と田原家に集結。かつてない規模の“祓いの儀式”が始まろうとしていた……。
(出典元:Movie Walker)
“それ”に狙われる理由
素直に怖かったです。ホラー映画なんだから当然なんですが…。前半は田原秀樹(妻夫木聡)が正体不明の“それ”に命を狙われる展開。後半は“それ”との決着への戦いが描かれます。
愛する香奈(黒木華)と結婚して、そして香奈のお腹には赤ちゃんが。幸せ絶頂の秀樹ですが、秀樹の周りで怪異なことが起こり始めるんです。秀樹と香奈の2人しか知らないはずのお腹の子の名前を知っている女性が突然会社を訪問してきたり、秀樹の会社の後輩が謎の切り傷を負って亡くなったり…。
娘の知紗(ちさ)が生まれてからはさらに怪異なことは激しくなって来るんです。秀樹たち家族3人が住んでいるマンションにも“それ”が襲って来るんです。
何かに狙われてると感じた秀樹は、友人で民俗学者・津田(青木崇高)に相談したところ、オカルトライターの野崎(岡田准一)の彼女で霊媒師の血を引くキャバ嬢・真琴(小松菜奈)を紹介してもらうんです。そして真琴が秀樹のマンションを訪れて…そこから一気に物語が恐怖が加速します。
そもそも秀樹を襲う“それ”とはいったいなんぞやと。秀樹の少年時代の記憶がフラッシュバックのように何度も甦るんです。その記憶は、ある少年少女が森の中にいるんです。少女が「迎えが来たから行かないと」「あんたも嘘つきだからいつか迎えが来る」みたいな事を少年(秀樹?)に言うんです。その少女はその後、神隠しにあったとか殺されたとかで、行方不明になってしまうんです。
要所要所でこのフラッシュバックの場面が本編で流れるんです。どうやら“それ”は嘘つきを狙って襲ってくる霊的な何かみたいなんですね。そして、“それ”は嘘つきの田原秀樹にロックオンしたようです。
癖のある登場人物たち
偽イクメンパパ田原秀樹
子育てブログを立ち上げて『イクメンパパ』ぶりをアピールする秀樹。ブログにはイクメンパパやってますよ!的な良い事ばかり書いて、でも現実は育児に全く参加しないんです。嘘なんです。実際は偽イクメンパパなんですね。
調子の良いことを書いてブログのアクセス数が増えて、調子に乗っちゃったんでしょうね。子育てよりもブログに重きを置いて生活しちゃうもんだから、香奈との間にも溝が生まれてくるんです。もっと子どものことをやってよと。そんなことも気にせずノーテンキ子育て偽イクメンパパはブログばっかやってるんです。
おそらく秀樹は今まで、周りに良く見られたい、ちやほやされたいという願望のみで生きてきたんでしょうね。調子が良くて見栄っ張り。本当の自分ではない偽りの自分を周りに見せているんですから。これも立派な嘘ですよね。
男の僕でも秀樹にはイライラしたので、女性だとさらにイライラするんじゃないでしょうか…。映画的にはとってもナイスなキャラでしたけど(笑)。
そんな偽イクメンパパの秀樹でも“それ”から家族を守るために必死に行動するんです。ブログには嘘を書いてましたが、家族への愛は本当だったんでしょうね(多分)。なんとか家族を守ろうと霊媒師にも会いに行き、結果的に自ら“それ”と対峙することになったのですが…
力及ばず、まさかの絶命。
心を病んだ田原香奈
秀樹の妻である香奈。控えめな感じで、一歩下がって旦那さんを支える良き妻…だった思うんですよね香奈は。でも偽イクメンパパ・秀樹のせいで徐々に心が病んでしまうんです。
子育てブログに夢中で育児にはまったく参加しないし、ブログにアップするために突然外食しようと言い出すし(晩御飯準備してるのに…)、自分の事しか考えていない偽イクメンパパ・秀樹にストレス溜まりまくりだったんでしょうね。 そして徐々に秀樹ともすれ違ってしまったんでしょうね。
育児ノイローゼ気味になってしまった香奈は、悩みの相談をするうちに、秀樹の友人の津田と不倫関係になってしまったんです。これも立派な嘘なんでしょうね…。
そして秀樹の死後、シングルマザーとして頑張っている香奈。でも、思うように生活できず闇に堕ちていく香奈は見ている僕も心が痛んで辛かったです。この映画の見所のひとつだと思いますね。そんな香奈に“それ”はロックオンするんです。
ある時“それ”に襲われ、真琴が身を挺して香奈と知紗を逃がすんですが…結局はターミナルビルのトイレで“それ”に襲われ香奈もまさかの絶命!
秀樹と香奈を中心に物語が展開されていくものだと思っていただけに、二人とも絶命するとはびっくりでしたね。
ちなみにトイレで香奈と知紗が“それ”に襲われるシーン。めっちゃ怖かったですっ!だって、トイレの扉からニョキッと顔が出てくるんですよ…“それ”に憑依された香奈の毒親がニョキッと(これはマジコワ)。僕的にはこの映画で一番怖かったシーンでした。ここはぜひとも見て欲しいですね。
霊媒師の血を引く比嘉姉妹
ちょっと、いや、見た目はかなりぶっ飛んでいる霊媒師の血を引くキャバ嬢の比嘉真琴(小松菜奈)。登場シーンでは下着姿?みたいなセクスィーな姿を披露し、おじさんをドキドキさせてくれました。
で、その真琴はというと、髪の毛はピンク色だし、タトゥーは入ってるし、あんまりお近づきにはなりたくない感じの女性なんですが、中身は全然違うんですねー。
秀樹たち家族のことを心配してマンションまで来てくれたり、娘の知紗と楽しく遊んだり、“それ”がマンションに襲ってきた時も身を挺して知紗たちを守ってくれたりと、今作の主要な登場人物の中で、もっとも人間味あふれる心優しき素敵な女性でした。
そして、真琴の姉で最強霊媒師の琴子(松たか子)。まー、凛としてカッコイイんですわ。感情を表に出さないようなクールな女性で、霊媒師としては半人前の真琴にビシッと厳しいことを言ったり、常に冷静に仕事を遂行するような、なかなか癖の強いキャラクターでした。
常に冷静な口調で話すんですけど、それはそれでちょっと面白かったりもするんですね。完璧なんだけど浮世離れしてるというか。松たか子さんのこの微妙なコミカルチックな演技も見て欲しいところです。
オカルトライター野崎
真琴の恋人でオカルトライターの野崎。主要な登場人物の中ではもっとも普通な感じの男。髭面の岡田くんもまぁ素敵ですわ。
話し方は若干ぶっきらぼうなところもありますが、秀樹に真琴を紹介した以上は責任は取りますよ的な感じで、真琴と同様に最後まで秀樹の家族と関わっていきます。“それ”との対決も見届けようとするんです。
実は彼にも暗い過去、闇があるんです。
過去に恋人に子どもを堕ろさせたんです。
そんな引け目からか、野崎も真琴同様に知紗を必死に守ろうとするんです。“それ”との最終決戦では知紗を守ろうとするあまりに琴子にブン殴られる面白いシーンもありました(僕は声を出して笑っちゃいました)。中々熱い男でしたね。
最強霊媒師たちの戦い
秀樹たちの住んでいたマンションに“それ”を盛大に迎え入れて最強霊媒師・琴子とその仲間たち(霊媒師)が退治しようとするんです。
最終決戦の場に仲間の霊媒師たちを呼び寄せるも、半数以上は“それ”にやられてしまうんです。そして、たどり着いた老若男女の霊媒師たちが“それ”を迎え入れるんです。
まさに“それ”との最終決戦!
とっても迫力のある対決シーンでした!
“それ”の狙いは知紗で、知紗の体を乗っ取ろうとするんです。強大な力の“それ”を退治するために琴子は知紗ごと葬ってしまおうとするんですね。さすがクールな最強霊媒師・琴子。子どもでも容赦ない(笑)。
そんな中、真琴と野崎は知紗を守ろうとするんです。“それ”を葬ろうとしている常に冷静な琴子もさすがに動揺を見せるんです。その隙に“それ”に攻撃され血を吐いたり、危うい感じもするんですが、最後に激突します!
で、どうなったのー!?
“それ”との決着の行方は…不明。琴子の生死も…不明。
まとめ
得体の知れない“それ”はホントに怖かったです。特に香奈が襲われたトイレのシーンは今思い出してもマジコワです…。
が、結局のところホントに怖かったのは人間ですね。薄っぺらさ100%の秀樹、闇に堕ちていく香奈、秀樹の奥さんと不倫をしたクソみたいな津田(言葉がお悪うございます)…など。そして割を食ってしまうのが子どもたちなんですよね。
とってもスピード感のあるホラー映画なんですが、しっかりと人間の闇も描かれていて、誰にも感情移入はできないものの(笑)とっても面白い映画でしたね。僕はオススメできる映画だと思います。
おまけ
パンフレットは僕が好きなマット系の紙(テカテカしてない紙)でオーソドックスな作りでした。主要キャスト5人のインタビュー記事もあり、もちろん中島哲也監督のインタビュー記事もあり、ビシッと読み応えのある内容でした。ピンクをアクセントとしたデザインもオシャレで、写真も多めで良かったですよ(^○^)
映画が面白かったので、思わず『来る』の文庫本を買ってしまいました。
仕事の方が忙しくてまだ読めてませんが、どうやら続編があるみたいですね。ってことは、琴子は“それ”を葬ったってことなんでしょうか。続編も興味深いですねー。っていうかまずは『来る』を早く読めってかんじですよね(^^;;
以上、映画『来る』感想&考察!中島哲也監督作品。人間の闇を絡めたホラー映画!(ネタバレあり)でした!
最後まで読んでいただきありがとうございました!