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映画『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』【ネタバレ感想】ダウン症は障害じゃなくて個性さ!って思える心地良いロードムービー。

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映画『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』を観てきました!

 

「すっげぇ良かった!」というツイッターのタイムラインに流れてきた感想を目にして、急遽観ることにした本作。

 

すっげぇ良かった!

 

なんて言うんですかね…ひと言で言うと“心地良い映画”という感じでしょうか。

 

他人の漁場を荒らして追われる身となった漁師のタイラーと、プロレスラーになることを夢見て施設を脱走したダウン症の青年ザックのロードムービー。

 

では、いってみましょう。

 

 

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作品情報

公開日:2020年2月7日

監督:タイラー・ニルソン

   マイケル・シュワルツ

脚本:タイラー・ニルソン

   マイケル・シュワルツ

制作国:アメリカ

上映時間:97分

配給:イオンエンターテイメント

 

 

キャスト

シャイア・ラブーフ:タイラー

ダコタ・ジョンソン:エレノア

ジョン・ホークス:ダンカン

ブルース・ダーン:カール

ザック・ゴッツァーゲン:ザック

ジョン・バーンサル:マーク

トーマス・ヘイデン・チャーチ:クリント as ソルトウォーター・レッドネック

イェラウルフ:ラットボーイ

ミック・フォーリー:ジェイコブ

ジェイク・ロバーツ:サム

 

 

予告


シャイア・ラブーフ主演の全米ヒット作『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』予告編

 

 

あらすじ

養護施設で暮らすダウン症のザックは、子どもの頃からの夢だったプロレスラーの養成学校に入るため施設を脱走する。兄を亡くして孤独な日々を送る漁師のタイラーは、他人の獲物を盗んでいたことがバレたことから、ボートでの逃亡を図る。そんなタイラーと偶然に出会ったザック、そしてザックを捜すためにやってきた施設の看護師エレノアも加わり、3人はザックのためにある目的地へと向かう。

(出典元:映画.com)

 

 

映画『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』ネタバレ感想

ダウン症は障害ではなく個性

 

はじめはうまくコミュニケーションが取れなくて、イマイチ噛み合わなかったタイラーとザックが、様々なピンチを協力し合って乗り越え、本音を語り合い、徐々に打ち解けて親友のような同志のような素敵なコンビになっていく展開が微笑ましくてね。

 

そのタイラーとザックのやりとりが本当に面白くて。ザックはダウン症という障害を持っているので(役者さんも実際にダウン症)、タイラーの言っていることを理解しているようで理解していなかったり、会話が成立しているようで成立していない場面がコメディータッチでちょこちょこ描かれるんだけど、そのコメディー感のさじ加減が絶妙で笑えて。

 

障害って誰しもが同情してしまいがちじゃない。でも、本作はダウン症を障害としてだけではなく、ひとつの個性としてリスペクトして描かれているんです。障害じゃなくて個性。その描き方に愛がある。だから、笑える。

 

 

 

気持ち良いタイラーの態度

 

ダウン症なんて関係ねぇよ、同じ人間だろ?って感じでザックとざっくばらんに(ザックだけに)触れ合うタイラーの態度。これが気持ち良いのよ。

 

障害を持っている人も持ってない人も平等な世の中に、と言ってはいるものの、昔よりは改善されてるとはいえ、まだまだ難しい現状なのは周知の事実。

 

障害を持っている人を心配するあまりに先回りして手を貸したり、過剰に気を使ったり世話を焼いたり。そんな関係性はすでに平等ではないし、その時点で差別してるとも言えるし。(先回りや世話を焼くことが悪いとは言ってなくて、僕も含めて出来ないという先入観を持つことは良くないなと。)

 

でも本作のタイラーとザックの間には障害を持っている人と持ってない人の壁が存在しないの。さっきちょこっと書いたけど、タイラーからしたらザックのダウン症なんて個性なんですよ。

 

意思疎通がうまく出来なかったら、ダウン症だから仕方ねぇか…じゃなくて、普通に怒りを露わにするし、泳げないザックに対してどうせ教えても出来ないだろ…じゃなくて、普通に泳ぎを教えるし。そしてタイラー自身が持っていた散弾銃だって打たせるし(これはちょっと違うか)。

 

 

 

ザックの夢を応援するタイラー

 

でね、いちばん良かったのが、プロレスラーになりたいザックの夢をタイラーが応援してあげるところ。

 

ダウン症のザックがプロレスラーになりたい!って言ったら、僕は止めてしまうと思う。誤解を恐れずに言うと、それは心の片隅にダウン症だから無理だという先入観があるから。

 

実は僕の嫁さんは障害を持っていてね。ダウン症とは違うんだけど、ある病気で手足に障害が残ってしまって。車椅子も必要なくて普通に生活は出来るんだけど、細かい作業が上手に出来なかったりする。だから僕は比較的障害に対しての変な先入観は無いんだけど、それでもザックに対するタイラーの態度、障害を持つものと持たないものとの壁を完全に無くして接することは難しいと思っていて。

 

だからこそ、タイラーの態度には心地良さや気持ち良さをより感じる。素敵だなぁって感じる。

 

でもちょっと意地悪な見方をすると、タイラーにはザックに対する責任ってものが存在しないということも忘れちゃいけないなと。タイラーとザックの間に責任が存在しても、果たしてタイラーは同じ態度が取れるのか。プロレスラーになる夢を応援出来るのか。

 

他人の子どもがプロレスラーになりたい!って言えば無条件で応援出来るけど、自分の子どもだったら怪我が心配だし、死んじゃうことだってあり得る職業だから、簡単には応援出来ないような気もするし…。

 

 

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プロレスデビュー

 

クライマックスもホントに良かった!

 

待望のプロレスラーとしてのデビュー戦。今までイケイケドンドンで盲目的にプロレスラーになることを夢見てたザックなんだけど、いざ実践ってなると思いっきりビビるわけですよ。

 

ビビる=恐怖を感じる。これはね、ザックの立派な成長だと思うんです。何かを真剣にやってきた方ならみんな同じ経験をしているはず。真剣に向き合えば向き合うほど本番は怖い。

 

僕もデザイナーになるまでは、深くは考えずに好き勝手に作品作りに勤しんでいたけど、実際デザイナーになってクライアントさんにデザイン案を出すようになると、吐き気がするほど緊張してね。クライアントさんに自分のデザインをクソミソに言われないか怖くてね。今思えば怖さを感じたということは真剣にやってきた証、成長の証だったのかなぁなんて。え?今はだって?そりゃあ、あなた。緊張って何?

 

ビビるザックを奮い立たせるタイラーには感動したし、吹っ切れて意気揚々とリングに上がるザックにも感動したし、そして何より、対戦相手が手を抜かずにガチでやってくる展開が本作らしくて良かった。プロレスのシーンでもザックは障害者としてではなく、ひとりのレスラーとして描かれていて、ホント気持ち良かったし清々しかったです。

 

 

 

素敵なエレノア

 

あ、そうそう。本作で唯一ザックを障害者として見ていた(悪い意味じゃなくて)施設の看護師エレノアがね…素敵でしてね。

 

はじめは逃亡をしたザックを連れて帰ろうとしたけど、タイラーに「ザックを心配してるけど、ザックの人生を尊重してるのか?ザックを押さえつけてるだけじゃね?」みたいなこと(セリフは違うと思うけどこんな感じのこと)を言われて、そんなことない!と否定しつつ図星とも感じつつ2人と旅することになる展開良かったなぁ。

 

エレノアは施設の看護師だからタイラーと違って責任があるわけで。無事にザックを施設に戻すことが仕事なんだけど、タイラーと一緒にいるザックの生き生きとした姿を見て、そしてタイラーの言葉を聞いて、自分のしようとしていることが正解なのか葛藤するわけですよ。そんな葛藤しつつもザックの夢を叶えるために見守るエレノアの健気さったらあなた。心の底からザックを思ってるんだなぁって、ええ娘やなぁって。

 

エレノアを演じたダコタ・ジョンソンがホントに健康的でキュートで美人で可愛くて、どストライクで(僕の好みはどうでもいいってことはわかってるけど言わせて)。個人的には今後注目したい女優さんですね。

 

 

 

まとめ 

繰り返しますが、ホントに心地良い映画でね。見終わった後、なんだか優しい気持ちになれるといいますか、もっと自由に生きていいんだよなぁと思わせてくれるといいますか…とにかく、良いのよ(伝わります?)。

 

心が疲れているあなた。

 

心がトゲトゲしてるあなた。

 

『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』はあなたに元気をチャージしてくれますよ。オススメです(^_-)

 

 

 

おしまい。