映画『ジョジョ・ラビット』【ネタバレ感想】傑作爆誕!軽快でポップな戦争映画。
映画『ジョジョ・ラビット』を観てきました!
僕の観たい映画リストに入っていなかったんだけど、TLに流れてくる映画ガチ勢の皆さまの評判がすこぶる良くて。そしてアカデミー賞作品賞にノミネートされたこともあって、一体どれほどの作品なんだと(←上から目線)急遽観た次第です。
キノシネマ立川高島屋S.C.館さんで、1月19日(だいぶ前)に鑑賞。
面白かった!!!映画ガチ勢の皆さまがべた褒めするのもわかるし、アカデミー賞作品賞にノミネートされるのもわかる(←上から目線)。
傑作爆誕!
では、いってみましょう。
※『パラサイト 半地下の家族』のネタバレにも触れているので、未見の方や知りたくない方は気をつけてください。
作品情報
公開日:2020年1月17日
監督:タイカ・ワイティティ
原作:クリスティン・ルーネンズ
脚本:タイカ・ワイティティ
制作国:アメリカ
上映時間:109分
配給:ディズニー
キャスト
ローマン・グリフィン・デイビス:ジョジョ
トーマシン・マッケンジー:エルサ
タイカ・ワイティティ:アドルフ
レベル・ウィルソン:ミス・ラーム
スティーブン・マーチャント:ディエルツ大尉
アルフィー・アレン:フィンケル
サム・ロックウェル:クレンツェンドルフ大尉
スカーレット・ヨハンソン:ロージー
アーチー・イェーツ:ヨーキー
ルーク・ブランドン・フィールド
サム・ヘイガース
予告
あらすじ
第2次世界大戦下のドイツに暮らす10歳のジョジョは、空想上の友だちであるアドルフの助けを借りながら、青少年集団「ヒトラーユーゲント」で、立派な兵士になるために奮闘する毎日を送っていた。しかし、訓練でウサギを殺すことができなかったジョジョは、教官から「ジョジョ・ラビット」という不名誉なあだ名をつけられ、仲間たちからもからかいの対象となってしまう。母親とふたりで暮らすジョジョは、ある日家の片隅に隠された小さな部屋に誰かがいることに気づいてしまう。それは母親がこっそりと匿っていたユダヤ人の少女だった。
(出典元:映画.com)
映画『ジョジョ・ラビット』ネタバレ感想
軽快でポップな戦争映画
第二次世界大戦下で生きるヒトラーを盲目的に心酔する10歳の少年・ジョジョの成長譚を描いた戦争映画。テーマとしては重いんだけど、ユーモアと愛に満ちた素敵な作品に仕上げるタイカ・ワイティティ監督のセンスたるや(スゴイのよ、これが)。
ジョジョと空想上のお友達であるアドルフ・ヒトラー(←はじめはコスプレしたジョジョのお父さんかと思った)との軽妙でユーモアたっぷりの会話や、青少年集団ヒトラー・ユーゲント(ナチス少年兵養成所みたいな組織)へ喜び勇んで参加するジョジョの可愛らしさに惹きつけらる序盤戦。
軽快でポップなコメディー感が心地よくて一気に『ジョジョ・ラビット』の世界に引き込まれて、これ絶対に面白くなるョ!間違いないョ!って確信めいたものを感じさせてくれてワクワクするんだこれが。
とはいえ、ジョジョが参加しているのは少年兵養成所なわけで、コメディーな雰囲気ではあるんだけどやっぱり心のどこかで「子どもたちに戦争の仕方を教えるなんて…」みたいな気持ち悪さも感じるわけで。
でもこれが戦時下のリアルなんだろうな…なんて妙に納得もしたりして。ヒトラー万歳の世界に生きている子どもたちにとっては、ちょっとしたお遊びサマーキャンプの感覚でヒトラー・ユーゲントに参加してたのかなぁなんて思うと少し心がチクチクしちゃってね。
カッコいい母・ロージー
トチってしまってヒトラー・ユーゲントを離脱することになり、落ち込むジョジョに寄り添う母・ロージーがホント良かった。明るくて優しくて温かくて強くて、そしてオシャレで。で、そんなロージーを演じるのがスカーレット・ヨハンソンだから、そこに美貌&抜群のスタイルが加わってパーフェクト母なんですよ。
戦時下でも前を向いて生きている感じが表れていて、とっても素敵でカッコよくて。こんなお母さんいいなぁ…なんてホントに思っちゃう。いや、嫁さんでもいいなぁ…なんて(遠い目で)。
ジョジョとエルサ
ジョジョとロージーの2人暮らし(お父さんは出征中、とのこと)なんだけど、実はもう1人、ロージーが匿っていたユダヤ人少女・エルサが住んでいたという展開にはビックリ。(僕は本作の予習をしないで観に行ったので、素直にビックリできたのはラッキー。)
エルサは隠し部屋にいたんだけど、僕は『パラサイト 半地下の家族』をすでに鑑賞済みだったので、「お前もかいっ!」って思わず突っ込んじゃったりはしなかったけど、既視感があって何だか面白かったです(なんのこっちゃ)。
そりゃあ、ジョジョはビックリして逃げるわけですよ。知らない人間が家の中にいたんだから。でね、そのエルサ。普通に隠し部屋から出てくるんじゃなくて、手から出てくるの。そしてゆっくりと階段を降りてジョジョを追ってくるの。一瞬そっち系の(霊的な)話なの?って思ってしまうようなホラーな演出が面白かったです。
匿われていたことがバレたエルサのキャラも良くて。「ごめん、ジョジョくん。みんなには黙っとってm(_ _)m」みたいに下手に出るのかと思いきや「お前、バラしたら殺すぞ」とまでは言わないものの、自分の存在がバレたら家族みんな処刑されるよ、みたいに脅すという強気な姿勢、というか修羅場を潜り抜けてきたんだなぁっていう覚悟みたいなのが節々に見えて良かったです。
ジョジョはジョジョで「黙ってるからその代わりにユダヤ人のこと教えろ」みたいな変な交換条件を出すあたりがまた可愛くて。ヒトラーに対する彼なりの忠誠心を見せたんでしょうね。可愛い。
秘密警察登場
ジョジョとエルサの緊張感がありつつも微笑ましい関係性も良くて、2人の距離感も近づいてきていい感じだったんだけど、なんと秘密警察がジョジョ宅を訪れるという戦慄の展開が待っていて。その緊迫感といったらあなた…心拍数だだ上がりですわ。
だってユダヤ人を匿っていることがバレたらエルサはもちろんのことジョジョもロージーも処刑確定。不気味なほど冷静な秘密警察と強張った顔で受け答えをするジョジョの画は見てられないくらいの緊張感で。
で、バレるのも時間の問題かと思ったらエルサが秘密警察の前に姿を現わすというまさかの行動に出るという。この辺の思い切りの良さや覚悟はエルサらしくて良かったなぁ。観ててめちゃくちゃドキドキしたけど。
でもこの緊迫のシーン。これはある悲劇への伏線、というかミスリードだったんです。これはお見事タイカ・ワイティティ監督。確かに秘密警察は人を探すというより何か証拠を探すような感じだったんですよね…。
どんな悲劇だったのかは、ご自分の目で確かめていただきたい(なんだそりゃ)。
ミス・ラームとキャプテンK
最後の最後にこれぞ戦争!というシーンがあるんだけど、これも印象的でとっても良いの。敗色濃厚で兵士だけじゃなく市民も銃を持ち、ヒトラー・ユーゲントの少年兵も銃を渡され戦場に出るわけですよ。侵攻されてカオスな状況なわけですよ。
そんな危機的な状況下でも女教官ミス・ラームは少年兵ではないジョジョには銃を渡さなかったし、敗戦後に捕らえられたジョジョを教官だったキャプテンKは自分を犠牲にして逃がしたり。ジョジョに対する彼らの行動を見ると、実のところは戦争を良く思ってなかったんじゃないかなぁって感じられて。ホントに戦争万歳、ヒトラー万歳だったらジョジョに銃を持たせるはずだしジョジョを逃がそうなんて思わないはずだし。
実際、戦時下の混乱の中でも、人間らしい行動をとれる大人たちは存在していたのかもしれないなぁ…なんてちょっとしんみりしちゃったり。
大人としての役割を果たした2人の美しい姿に感動…(ToT)
まとめ
戦時下という絶望的な状況の中でも明るく生き抜くジョジョには感動したし、そのジョジョを支える母・ロージーをはじめとする周りの大人たちの人間としての振る舞いや行動には拍手を送りたくなるし、そして希望に満ちたラストを描いてくれたワイティティ監督にブラボー!とお伝えしたくなる作品でした。
戦争の悲劇をポップでコーティングして観やすくしつつ、でもしっかりと悲劇も伝わるように描かれていて、とってもバランスが良くて好感が持てる作品でしたよ(意味わかりますかね)。
これは誰にでもオススメできる作品だと思います。
90点!
おしまい。