映画『スペシャルアクターズ』【ネタバレ感想】上田慎一郎監督作品!俳優たちがカルト集団ムスビル撃退に挑むドタバタコメディー!
映画『スペシャルアクターズ』を観てきました!
上田慎一郎監督劇場長編第2弾作品は愛と笑いと感動のコメディー!
観終わった後は、優しい気持ちになれますよ。
では、いってみましょう。
作品情報
公開日:2019年10月18日
監督:上田慎一郎
脚本:上田慎一郎
製作:井田寛
企画:深田誠剛
プロデューサー:橋立聖史
小野仁史
音楽:鈴木伸宏
伊藤翔磨
配給:松竹
上映時間:109分
キャスト
大澤数人:大野和人
河野宏紀:大野宏紀
富士たくや:富士松卓也
北浦愛:富士松鮎
上田耀介:田上陽介
清瀬やえこ:清水八枝子
仁後亜由美:丹後真由
淡梨:大和田多磨瑠
三月達也:大和田克樹
櫻井麻七:七海
川口貴弘:河田隆弘
南久松真奈:麻奈
津上理奈:津上里奈
小川未祐:津上祐未
原野拓巳:原田拓巳
広瀬圭祐:廣瀬
宮島三郎:鬼塚
山下一世:山本
予告
映画『スペシャルアクターズ』予告 10月18日(金)全国公開
あらすじ
超能力ヒーローが活躍する大好きな映画を観てため息をつく売れない役者の和人。ある日、和人は数年ぶりに再会した弟から俳優事務所「スペシャルアクターズ」に誘われる。そこでは映画やドラマの仕事の他に、依頼者から受けた相談や悩み事などを役者によって解決する、つまり演じることを使った何でも屋も引き受けていた。そんなスペアクに、”カルト集団から旅館を守って欲しい”という依頼が入る。ヤバ目な連中相手に計画を練り、演技練習を重ねるスペアクの役者たち。しかし、和人にはみんなに内緒にしている秘密があった。極限まで緊張すると気絶してしまうのだ。あろうことか、このミッションの中心メンバーにされた和人。果たして、和人の運命やいかに!?
(出典元:映画『スペシャルアクターズ』公式サイト)
映画『スペシャルアクターズ』ネタバレ感想
上田慎一郎監督劇場長編第2弾作品
歴史的大ヒットを記録した『カメラを止めるな!』は、2018年に観た映画でいちばん面白かったし、老若男女誰にでもオススメできる素敵な作品だと思っていて。
で、その後に、奇想天外な作品から心温まる作品4本を集めた『上田慎一郎ショートムービーコレクション』を観て、上田慎一郎監督の作風が何となくわかって。(『Last Wedding Dress』が好き。)
で、上田慎一郎監督含む3人の監督が作り上げた『イソップの思う壺』を観て、面白かったけど『カメ止め』ほどの…という微妙な感想を持って。
で、本作『スペシャルアクターズ』を観て、上田慎一郎監督の作品はやっぱり面白いなぁと改めて思って。
どんな作品なのか、ひとことで言うと、俳優事務所「スペシャルアクターズ」の個性的な面々が演技を武器にカルト集団ムスビルから旅館を守るという、スリリングでイロモノ感たっぷりの単なるドタバタコメディーかと思いきや…最後に素敵などんでん返しが待っているという上田慎一郎節が見事に炸裂して、とっても面白くて愛のある作品(かなり長くなった)、です。
以前から薄々気付いてはいたけれど、『スペシャルアクターズ』を観て確信しました。僕、好きなんですよ、上田慎一郎作品が。
個性的なキャラクターは多いし、笑える場面も多いし、ちょっと癖のあるコメディー映画なんだけど、最後に幸福感を与えてくれる上田慎一郎作品がどうやら好きみたいなんです。
個性的な登場人物たち
本作も『カメラを止めるな!』同様に無名の(というかあまり名の知れてない、という意味での無名、というフォローをしときます)役者さんたちが起用されているんです。その起用された役者さんたちが演じる登場人物にリアリティーがあり過ぎるんですよ。
上田監督はワークショップでの佇まいと表現を厳選し、メンバーを決めた上でオリジナルストーリーを創作。メンバーの特性を最も生かす役割、シチュエーションを考えた結果、「演技による人助け」という物語が浮かび上がった。
(引用元:映画『スペシャルアクターズ』公式サイト)
役があってその役に合う役者さんを当てたんじゃなくて、役者さんありきでその役者さんに合う役を当てたという、本来の逆パターンがうまくハマった感じで。
役柄と演じた役者さんとのリンク感がハンパないんです。
主人公・和人を演じた大澤数人さんからは、極度に緊張したら気絶しちゃうから「おっぱいにはストレスを和らげる効果がある」とか嘘か本当かわからないようなことを言って柔らかそうなゴムボールをモミモミしそうな雰囲気が漂っているし。
スペシャルアクターズの社長、いや、ボスを演じた富士たくやさんからは、周りからは頼られたいと思っているんだけどなぜか舐められちゃうというちょっと残念な雰囲気が漂っているし。(残念なんだけど、声が高くて舌ったらずで可愛い)
カルト教団ムスビルの教祖・タマル様を演じた淡梨さんからは、突然パーマをかけそうな雰囲気が漂っているし。(どんな雰囲気)
教祖・タマル様のお父さんを演じた三月達也さんからは、ステキな声で周りの人間を騙くらかしそうな雰囲気が漂っているし。(かなり暴言)
ムスビルの女性幹部を演じた櫻井麻七さんからは、胸にパットを入れて胸を大きく見せて世の男性を騙くらかしそうな雰囲気が漂っているし。(僕は騙されたいと思っている)
ムスビルに入信してしまった旅館の若女将・里奈を演じた津上理奈さんからは、騙されて変な宗教団体に入ってしまって断口しそうな雰囲気が漂っているし。(断口…)
上記6名の役者さんを含め、『スペアク』に出演された役者さんはみんな、おそらくありのままの自分を演じてると思うんですよね。(多分違う)
役柄と演じた役者さんの雰囲気が思いっきりリンクして、リアリティーがありまくりで、演技を観ているだけでも面白いんです。
後味の良いドタバタ劇
そんな個性的な登場人物たちがドタバタワチャワチャするわけだから、面白くないわけがないんですよ(って若干の上から目線で)。
そのドタバタの中心でワチャワチャするのが主人公・和人。頼りなくて気弱な(弟には強気)和人を観ていると、可哀想なんだけどなぜか面白くてね。(伝わり辛いかもしれないけど本作を観たら僕の気持ちがわかるはず。)
緊張しいの和人がムスビルの怪しいセミナーに潜入したり、ムスビルの秘密データを奪おうとする展開だけでもかなりスリリングなのに、そこに和人が気絶しちゃうんじゃないかという不安感がいい感じにスパイスになって、より緊迫感を煽って面白くて。(実際気絶しちゃうんだけど。)
和人が無断で若女将・里奈の部屋に入った事がバレて、なんやかんや言い訳した挙句に例のおっぱい代わり(?)の柔らかいゴムボールを里奈に渡すと、なぜか里奈もモミモミするシーンがシュールで面白かったり。(なぜ揉む?)
でね、和人の頼りなさや気弱さやゴムボールをモミモミする(やや変態チックな)感じ、そしてヒョロッとした体型を見ていくうちに、和人がアンガールズ田中に見えてきちゃってね。声をよくよく聴いてみると、声もアンガールズ田中に似ていて(似てない?)。見終わる頃には和人がアンガールズ田中にしか見えなくなってきて、個人的にはかなりツボでした。
他にも、ムスビルに殴り込みをかける族のひとりを演じた社長(ボス)の声が高いので全く凄みが感じられなくて可愛くて笑えたり(ホント声が可愛いのよ)、潜入したスペアク八枝子を追いかける信者たちが足元にばら撒かれたタマル様ブロマイドを踏むことに躊躇している姿に笑えたりと、ちょっとした笑いを要所要所でぶち込んでくるのもかなり僕好みで良かったです。
スリリングで笑えて、ドタバタするシーンが多いんだけど、それだけじゃなくてね。バタバタしつつも最終的には大人数で何かをやり遂げるという、ムスビルを撃退するという達成感や爽快感も感じられて。そして誰も傷付かない。そんな後味の良さも僕は好き。
ムスビルも観客も騙される展開
『スペアク』に2度騙されます。
演技でカルト集団ムスビルから旅館を守ろうとするわけだから、当然シナリオが存在するんですね。そのシナリオは観る側の僕たちも当然知ってるわけで。だから、シナリオ通りに事が進むのかどうかがスリリングで楽しめるんですね。
でもね、終盤にシナリオにない事が起きるんです。オバケを怖がるタマル様をビビらせて(オバケがね、怖いんですよ。タマル様は)、旅館から手を引かそうと、そういうシナリオだったのに、まさかの展開が待っているんです。
突然シナリオと違う事が起きるから、観る側はどこまでがスペシャルアクターズたちの演技で、どこまでが演技じゃなくてハプニングなのかわからないんですよ。観る側の人間をドキッとさせる展開はお見事でしたねー。これがひとつ目。
で、もうひとつはラストのどんでん返しで騙されたことに気付くんです。とっても幸せな気持ちにさせてくれる「騙し」なので、ここでは秘密にしておきますね。実際に観て騙されてください。
残念だったところ
かなりベタ褒めな『スペアク』なんだけど、残念だったところもありましたよ。
最後のどんでん返しの展開なんだけど、本編中に何かしらの伏線が散りばめられていたらもっと良かったのになぁって思いました。もちろんどんでん返しにはびっくしたし、その結果とっても幸せな気持ちになったので良かったんだけど、伏線があった方がより楽しめたのかなぁって思います。
あの場面がラストに繋がるのか!とか、あのセリフはラストシーンの事を言っていたのか!とか、何かしらの伏線があればもっと作品に深みが出て良かったのかなと。偉そうに思った次第です。
まとめ
いやぁ、いい年をした大人たちがある目的に向かって力を合わせて頑張る姿って…良いよねぇ(しみじみと)。
とっても笑えて幸せな気持ちにさせてくれる素敵なコメディーでした!
スペシャルアクターズの面々が力を合わせてカルト集団ムスビルから旅館を守ろうとする真剣な姿と、実際の役者さんたちが『スペシャルアクターズ』という作品にかける情熱とがリンクして、より一生懸命さが伝わってきてホントに引き込まれるんですよね。
『カメ止め』の次の長編作品なので、どうしても『カメ止め』と比べられてしまうけど、負けず劣らずの良い作品だったと思います。笑いや衝撃度は『カメ止め』の方が上だったけど、スリリングな展開や完成度は『スペアク』の方が上かと思いました。どっちが好きかと問われたら…僕は『スペアク』の方が好きです。
「無名の役者さんたちを起用して展開される幸福感のあるドタバタコメディー」といったら上田慎一郎監督だという、なかなかニッチなジャンルを確立したと思いますね。上田慎一郎ブランドの誕生です!(やや大げさかな?)
続編も作れそうな終わり方だったので、和人のその後の役者人生を観てみたいなと思うし、上田慎一郎監督にはまた人助けドタバタコメディーを撮って欲しいなと切に願ったりして…。
最後に。
『スペアク』のように、大人数で何かをやり遂げるという達成感や爽快感って、ホントに胸に響くし、熱くなれるんです。ひとりでいること、ひとり遊びが大好きな最近の若者にも絶対に響くと思うので、是非若者にも観て欲しいなぁって。ひとりもいいけど、みんなで協力して何かを成し遂げることも人生にとっては大事なことなんじゃないかなぁって思わせてくれる、愛のある素敵な作品なのでオススメしたい!
映画『スペシャルアクターズ』をもっと詳しく知りたい方へ
お前の感想じゃよくわからん!と、不満をお待ちの方に朗報。
映画紹介サイト『MIHOシネマ』さんで、映画『スペシャルアクターズ』が詳しく紹介されているので、『スペシャルアクターズ』をもっと詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!
ではまた。
シャワー。