映画『PSYCHO-PASS サイコパス SS Case.3 恩讐の彼方に』【ネタバレ感想】狡噛慎也の旅が終わり…いよいよ日本へ!
映画『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3 恩讐の彼方に』- 2019年劇場版サイコパス3部作の第3弾です!
いよいよ、ミスターサイコパス・狡噛慎也の登場です!
良い意味でサイコパスのデジタル感がなく、大自然をバックに展開される今作は、サイコパスの新たな可能性・世界観を感じさせてくれました。そして狡噛慎也の心の内面にも触れられた興味深い作品でした!
では、いってみましょう。
作品情報
公開日:2019年3月8日
監督:塩谷直義
SSストーリー原案:塩谷直義
シリーズ原案:虚淵玄(ニトロプラス)
脚本:深見真
キャラクター原案:天野明
主題歌:凛として時雨「abnormalize - Remixed by MASAYUKI NAKANO」
制作:Production I.G
上映時間:68分
配給:東宝映像事業部
映倫区分:PG12
キャスト(声の出演)
狡噛慎也:関智一
テンジン・ワンチュク:諸星すみれ
花城フレデリカ:本田貴子
キンレイ・ドルジ:志村知幸
ギレルモ・ガルシア:磯部勉
ツェリン・グルン:高木渉
ジャン=マルセル・ベルモンド:鶴岡聡
あらすじ
2116年に起きた東南アジア連合「SEAUn」での事件後、狡噛慎也は流浪の旅を続けていた。そんな中、南アジアの小国で武装ゲリラに襲われた難民たちを救った狡噛は、その中にいた少女テンジンから、仇討ちのために戦い方を学びたいと懇願される。
(出典元:映画.com)
『Case.3 恩讐の彼方に』ネタバレ感想
狡噛慎也とガルシア
東南アジア連合・SEAUn(シーアン)でのサイコパス偽証事件後も傭兵として紛争地帯を転々としていた狡噛慎也。ある酒場で意気投合した紛争解決を生業とする「停戦監視団」団長であるガルシアの協力を得て紛争が多発するチベット・ヒマラヤ同盟王国に入ります。
その道中、狡噛は武装ゲリラに襲われた難民バスを救い、その姿を目の当たりにした乗客の少女・テンジンは、家族を殺した男に復讐すべく、狡噛に戦い方を学びたいと懇願するが…
といった導入。
見た目で人を判断してはいけないとは思いつつも、決して良い奴には見えないガルシア(今作の重要人物)との出会い。自分にとって何のメリットもない武装ゲリラからの難民バス救出。殺された家族の仇を撃ちたいから戦い方を教えて欲しいと突然少女に懇願されたり…。
難民バスを救出するシーンでは圧倒的な射撃能力を見せつけ、強くてカッコ良いミスターサイコパス・狡噛慎也の魅力全開で掴みはOKでした。
テンジンの復讐劇が物語の中心ではない
Case.3の今作は、狡噛に戦い方を学んだテンジンが、めきめきとスキルを上げ、家族を殺した武装ゲリラの男に復讐を遂げる…という殺伐とした物語ではなく、復讐を果たしたいテンジンと復讐を果たした過去の自分を重ね合わせて、狡噛自身が「人を殺したら人を殺す前の自分には戻れない」「復讐を果たしたことによって全てを失った」という現在の自分の状況と向き合って未来へと歩み始める…という狡噛の心の内面にフォーカスした物語なんです(だと僕は思う)。
狡噛は槙島聖護を殺して復讐を果たした後も、クールに生きてきたかと思いきや、実は結構引きずってるみたいで。
公安局刑事課一係の元同僚の事を思ったり、日本にいる自分の母親の事を気にしたり、槙島を殺した事に後悔は無いけど、復讐を果たして全てを失った事には少し後悔しているようで。
自分自身の気持ちを語る狡噛を見ると、狡噛もひとりの人間なんだなぁなんて思ったり。
キーパーソンの花城フレデリカ
そんな中、狡噛の前に日本の外務省職員・花城フレデリカが現れます。シビュラシステムによって日本棄民となってしまった人たちの調査のためにチベット・ヒマラヤ同盟王国へ来た…ということらしい。
Case.2に引き続き登場となった花城フレデリカ。Case.2では公安局刑事課一係に出向していましたが、今回のCase.3では外務省に戻っていました。
花城フレデリカはCase.2で須郷を外務省にスカウトしていたので(失敗に終わった)、狡噛の前に現れた時点で怪しさ満点。狡噛もスカウトされるのかな?なんて感じで見ていましたが…。
そして今回のCase.3では出番も多く、かなり活躍してました。
武装ゲリラとの戦闘では狙撃で狡噛を助け(かなりの銃の腕前)、物語終盤の戦闘でも狡噛をバックアップするなど、見どころたっぷりの活躍でした。
そして何より花城フレデリカ最大の活躍シーンが…
まさかの入浴シーン。
グラマラスだと思ってはいましたが、想像の斜め上を行くグラマラス。
もうね、おじさんドキドキ。
ドキドキが止まらない。
入浴シーンが必要だったのかどうかは置いといて、いろんな意味で存在感抜群だった花城フレデリカ。彼女が主役で作品が1本作れるんじゃないかと思うくらいの活躍ぶりでした。っていうか、ぜひ作って欲しいです!
サイコパスらしくない風景
シビュラシステムもドミネーターも登場しない今作。
舞台は美しい大自然が広がるチベット・ヒマラヤ。
街や市場には活気があり、人々の生活感に溢れていて、サイコパスらしいデジタル感も無く、とっても新鮮な映像でした。
そして、狡噛とテンジンと花城フレデリカの3人の共同生活。
カッコイイ狡噛に可愛いテンジンちゃんに美人のフレデリカちゃん。
お似合い。
もうこのまま3人でずっと生活しちゃえばいいのに…なんて思えるほど幸福感溢れる日常が描かれてました。
殺伐とした世界観だけでは無く、大自然をバックに穏やかな世界観もイケるじゃん、サイコパス。って感じで、サイコパスの新たな一面を観せてくれた今作でした。
ガルシア率いる『停戦監視団』
狡噛とテンジンと花城フレデリカの穏やかな幸福感溢れる日常が描かれ、何だかサイコパスっぽく無いなぁと思っていたら(良い意味でね)、難民たちの食料物資が武装ゲリラに襲われ、狡噛は助けに行くものの、自分の甘さからまさかの瀕死の重傷負ってしまいます。しかし、ガルシア率いる『停戦監視団』の突然の軍事介入により何とか助かるんです。
三部族の対立によって紛争が多発していたチベット・ヒマラヤ同盟王国。ガルシア率いる『停戦監視団』の介入により、三部族間の停戦合意にあと一歩までこぎ着けます。平和まであと一歩。
怪しさ満点のガルシアでしたが、瀕死の狡噛を助けたり、停戦合意に動いたりと、なかなかやる男だなと思いましたね、この時は。人は見かけによらないな、人は見た目で判断してはいけないな、と。
そんな中、テンジンが偶然にも家族を殺した男を発見するんです。後を追うと、そこにはなんとガルシアの姿が。テンジンの仇である武装ゲリラの男とガルシアが繋がっていたんです!なんということでしょう!
さらに、テンジンは復讐を果たすどころか、逆にガルシアによって重傷を負わされるというまさかの展開。一気に緊張感が高まりました。
テンジンの仇の男とガルシアが繋がっていたことにはちょっとビックリしましたね。思わぬ展開。一瞬どういうこと?みたいに思考が止まりました。
そして、テンジンに重傷を負わせたガルシア。やっぱり悪い奴でした。人相通り悪い奴。人は見かけによるんですね…。
マッチポンプ(自作自演)
テンジンの家族を殺した男とガルシアが手を組んでいたという事=武装ゲリラと停戦監視団が手を組んでいたということは、武装ゲリラが紛争を起こして停戦監視団が待ってましたとばかりに介入してきて紛争を解決するという、要はマッチポンプ(自作自演)だったということ。
紛争が無いと停戦監視団の仕事は無いわけで、お金も稼げないですからね。
テンジンが重傷を負わされ、さらにマッチポンプだとわかった狡噛。ガルシアと決着をつけようとするものの、停戦合意間近の今、下手に騒ぎを起こせば交渉が破談になる可能性がるために静観せざるを得ない状況に。
マッチポンプだったとはいえ、平和のために、対立する三部族の停戦合意は必要。歯がゆい展開に…。
再び追われる身となった狡噛慎也
停戦合意後に、狡噛はガルシアと決着をつけるために花城フレデリカに協力を要請するんですね。でもそこはちゃっかり者のフレデリカちゃん。協力する見返りとして「あなたも私の仕事に協力しなさい」と(セリフは正確では無い)狡噛に交換条件を提示。ガルシアを倒すことしか考えてない狡噛はふたつ返事です。
これで完全に花城フレデリカにマウンティングされましたね。
そして花城フレデリカの協力のもと、ガルシアを葬った狡噛。
しかし、チベット・ヒマラヤ同盟王国側はガルシアのマッチポンプの事実を知らないんです。停戦合意=平和をもたらしたのはあくまでもガルシア率いる『停戦監視団』。もしマッチポンプの事実を知ったら停戦合意も白紙になりますよね。
だからあえてマッチポンプの事実を公表せず、狡噛はガルシア殺しの汚名を被りチベット・ヒマラヤ同盟王国から追われる身となってしまいます。
まさか日本で槙島聖護を殺した時と同じようにな結末になるとは…。
ガルシア殺しは狡噛にとって何のメリットもないのに、自分の手を汚してまでチベット・ヒマラヤ同盟王国の国民や難民たちに平和をもたらすとは…どれだけ人が良いんだよ、狡噛慎也は。
狡噛慎也、日本へ!
花城フレデリカの協力もあり、ガルシアとの最終決戦を制した狡噛。
「あなたに協力するからその代わりに私の言うことも聞いてちょうだい!」(セリフは正確では無いです)みたいな約束を花城フレデリカとしてしまった狡噛。
そして、狡噛は約束を果たすために花城フレデリカと日本へ戻ることになります。
狡噛慎也、日本へ!
サイコパスファンとしては狡噛が日本に戻って来るのは嬉しいですね!
サイコパスの今後の展開は?
狡噛は外務省の花城フレデリカと日本に戻るわけなので、狡噛は外務省側の人間になるということですよね。ということは?考えられる展開は2つ。
1つ目は、厚生省と外務省の覇権争いですね。日本は厚生省のシビュラシステムによって鎖国・統括されているので、実権は厚生省が握っている状態です。それを良しと思っていない外務省が内乱でも起こすのか。
もしそうなると、常守朱vs狡噛慎也もあり得る展開ですよね。見たいような見たくないような…。
2つ目は、新たな悪の出現です。花城フレデリカが最後に『ピースブレイカー』という謎の組織(おそらく武器売買の組織)の名前を口に出しました。この『ピースブレイカー』に対抗するための外務省が新たに組織するチームに狡噛を引き入れた可能性もありますね(いずれ須郷も?)。
この状況になると、常守朱と狡噛慎也がもしかしたら再び手を組むこともあり得ますよね。この展開になったら胸熱です!
『PSYCHO-PASS サイコパス 3』2019年10月放送決定!
今回の劇場版3部作の流れから予想はしてましたが『PSYCHO-PASS サイコパス 3』の放送が決定しました!嬉しいっす!
TVシリーズ第3期となるサイコパス3は、慎導灼(しんどうあらた)と、炯(けい)・ミハイル・イグナトフの2人を主人公にした新人監視官の物語。
慎導は、特A級メンタリストであり、高度な共感により精神的ボーダーラインを越境し追跡対象者になりきる能力を持つ青年。明るく物怖じしない性格だが、過去の事件が原因で、自宅の車の中でしか眠れないという一面も持つ。
ミハイルは、ロシア系移民の二世で帰化日本人。格闘や射撃に優れた元軍事経験者で、正義感が強い。灼とは幼なじみであり、共通したある目的のため監視官となった。
STAFF
監督:塩谷直義
キャラクター原案:天野明
アニメーション制作:Production I.G
制作:サイコパス製作委員会
CAST
慎導灼(しんどうあらた):梶裕貴
炯(けい)・ミハイル・イグナトフ:中村悠一 ほか
(出典元:コミックナタリー)
もう楽しみでしかありませんね!
監視官と執行官の組み合わせではなく、監視官2人が主人公という設定にもちょっと興味があります。どういう展開になるんだろ…。
この第3期サイコパスに狡噛慎也や常守朱の登場があるのかは不明です。今のところ発表はありません。もしかしたら第3期の後に劇場版があったりして。そこで狡噛慎也と常守朱が登場か!?なんて期待しちゃったりして。
まとめ
はっきり言って面白かったです。そこは間違いないです。
狡噛慎也は相変わらずカッコ良かったし、テンジンちゃんは元気いっぱいで可愛かったし、花城フレデリカちゃんは美人な上に入浴シーンの大サービス。
サイコパスらしくない大自然の美しい映像も素晴らしかったし、マッチポンプのくだりも良かったし、最後には狡噛が日本に帰る展開も良かったです。
でも、狡噛を日本に帰して、次の展開へと進める橋渡し感満載の今作だったので、何となくまとまり過ぎてる感じ、無難な感じが否めなかったですね。
テンジンの復讐劇も何だかうやむやな感じになっちゃったし。
個人的にはCase.2の方が面白かったと思いますね…。
おまけ(パンフレット)
今作『Case.3 恩讐の彼方に』のパンフレットも、過去2作同様にフォーマットは同じでしたね。
声優の関智一さん(狡噛慎也の声)、諸星すみれさん(テンジンの声)、本田貴子さん(花城フレデリカの声)のインタビューが載ってました。
当たり前の事なのかもしれないけど、それぞれのキャラクターの過去や内面を深く考えながら演じてるんだなぁと感心しました。
このような声優さんたちの陰の努力のおかげでサイコパス作品の質が保たれているんですね。
兎にも角にもサイコパスは次のステージに続くことになりました。2019年10月を心待ちにしましょう!
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!
ではまた。