映画『search サーチ』の感想&考察!【ちょっとネタバレ】全編PC画面上で展開される斬新なサスペンス映画!
ちょっと時間が空いたので『ヴェノム』を見ようと思ったのですが、時間帯が合わず、なんか面白そうだなぁって軽い気持ちで『search』を見ました。…大当たりでしたっ!
大作ではありませんが、傑作です!
映画『search』の感想&考察いってみましょう。
作品情報
製作年:2018年
製作国:アメリカ
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
監督:アニーシュ・チャガンティ
脚本:アニーシュ・チャガンティ
セブ・オハニオン
製作:ティムール・ベクマンベトフ
セブ・オハニオン
アダム・シドマン
ナタリー・カサビアン
製作総指揮:マリヤ・ザトゥロフスカヤ
アナ・リサ・ムラビナ
イゴール・ツァイ
上映時間:102分
キャスト
デビッド・キム:ジョン・チョー
マーゴット:ミシェル・ラー
ピーター:ジョセフ・リー
ヴィック捜査官:デブラ・メッシング
あらすじ
ある日、デビッド(ジョン・チョー)の16歳の娘マーゴットが突然姿を消す。行方不明事件として捜査が行われるが、家出なのか誘拐なのか不明のまま37時間が経過する。娘の生存を信じるデビッドは、マーゴットのパソコンでInstagramなどのSNSにログインする。そこで彼が見たのは、自分が知らなかった娘の一面だった。
(出典元:シネマトゥデイ)
斬新過ぎる映画『search』5つのポイント
物語が100%PC画面の映像で展開!
ん?どういうこと?
って感じですよね。でも、まさに言葉のまま「物語が100%PC画面の映像で展開」されるんです!
最初から最後までPCの画面がスクリーンに映され、PCの画面だけで物語が展開されます。
え?それで映画が成り立つの?って思いますよね。成り立つんです。
- 娘・マーゴットの幼い頃の映像(ホームビデオ)と共に家族の歴史を描くプロローグ。(演出が感動的で秀逸!僕はプロローグで引き込まれましたよ!)
- 高校生になった現在のマーゴット。そして父・デビッドとの何気ない普通の会話。(仲の良さそうな普通の父娘の関係に見えるけど…)
- マーゴットが突如行方不明に。家出?失踪?事件に巻き込まれた?(物語が動き出す!)
- デビッドは担当捜査官と共にマーゴットの行方を捜す。(行方不明の事件が公になる)
- デビッドがマーゴットのSNSにアクセスし、情報を集める。(IT企業に勤めてるデビッド無双!)
- 行方不明の真相に迫る。(ここ、かなりドキドキでした!)
- しかし…えっ?(絶句)
- …。
- えっ?(また絶句)
- そしてクライマックスへ!(続きは本編を見てね!)
ちょっとネタバレしちゃいましたが(ちょっとじゃない?)、ザックリとした本作の流れです。
物語としての目新しさはそれほどありませんが、この流れが全てPCの画面上で展開されるという、映像の斬新さにグイグイ引き込まれていきます。
マーゴットの闇。本当の顔
マーゴットと連絡が取れなくなり37時間が経過してしまいます。家出したのか失踪したのか事件に巻き込まれたのかわからないまま、デビッドは何とか手掛かりを得ようとするんですね。
マーゴットの友人や知人から話を聞いたり、マーゴットのInstagramやFacebookなどのSNSやメール、YouTube動画などにアクセスしたりして突如行方不明なったマーゴットの情報を集めるんです。
情報が集まれば集まるほど、知れば知るほど普段の明るく活発なマーゴットとは違う別の顔が見えてくるんです…。
どうでしょう。現実の世界とSNSの世界とでは別の顔。少なからず皆さんにもあるんじゃないでしょうか、別の顔。どちらが本当の顔ですか?
僕はどちらかというとSNSの世界の方が本音で語れるので、SNSの世界が本当の顔で、現実の世界が別の顔かも…?そんな気がします。
『SNSの世界のマーゴット』がPC画面を通して徐々に形作られて、闇の部分、本音の部分が明らかになっていく過程がサスペンスで、とっても緊張感があって面白かったです。
散りばめられた多くの伏線
特にサスペンス映画(やドラマ)において伏線はとっても重要ですよね。ベタなところだと、登場人物が怪しい表情をしたり、不自然なセリフを言ったり、不自然な行動をとったり…。
本作ではPC画面を通した会話やPC画面に表示される文字や画像など、本作ならではの方法で伏線が散りばめられているんです。
僕は昨日今日映画好きのおじさんになったわけではありません。だてに歳食ってません。「これって伏線だよね?」みたいな伏線への対応力だってそれなりにあるつもりです!(なんのプライド?必要か?)
でもね、PC画面から得られる情報量って多いですよね。そこに伏線が仕込まれているからもう大変。ところどころ伏線を見落としてしまいました。「あの場面がここに繋がってくるんだ!」みたいなハッとするシーンが多かったです。
そんな伏線の回収劇も鮮やかでとっても素晴らしかったです。おそらく気づいていない伏線もあるんじゃないかな…。
今の時代をを捉えている作品
身内やどんなに親しい友人にも、言いにくいことや相談しにくいことって誰しもありますよね。現実の生活では本当の自分を出せないけど匿名のSNS上では本当の自分を出せる、という方も多いかと思います。(僕もそのうちの一人です…)
それはそれで悪いことではないと僕は思ってるんですね。SNS上で吐き出すことでバランスを取れたりするし。あ、もちろん他人を傷つけてはダメですよ。
でも、匿名性を利用してSNS上に好き勝手に書いて、人を傷つけたりする人間っていますよね。ちょっと残念な人間たち。
マーゴットの行方不明事件は、もちろんニュースとして放送されます。拡散されます。そしてSNSで心ないことを言う人間や便乗してSNSに動画をアップしてアクセス数を稼ぐ人間も出てきます。
斬新な映像手法に目が行きがちですが、物語に時代性というか、リアリティがあるところも本作の魅力だと思います。
最後のどんでん返し!
これにはやられました。
ネタバレになっちゃうので詳しくは書けませんが、ちょっとショッキングな終わり方だった(だと思った)んですが…良い意味でどんでん返しがあるんです。
それにもしっかりと伏線が張られていて、そしてこの『search』ならではの、PCの画面上でどんでん返しされるんです!
ちょっと鳥肌、サブイボ立ちました。
まとめ
『物語が100%PC画面の映像で展開』されるという斬新さもありますが、斬新なだけではなく、そこにフィットする物語の展開もスピーディーで面白かったです。
SNSやメール、YouTubeなどの見慣れた画面がスクリーンに映し出されるので、とっても親近感があって、スッと入り込める映画です。
でもね、斬新な映像や手法に目が行きがちですが、本作の最大のテーマは「家族愛」「父娘愛」だと僕は思ってます。
プロローグでデビッドの奥さん・パムは病気で亡くなってしまうんです。想像するに、徐々にその悲しい出来事に蓋をしちゃったんだと思います。お互いに。
ちょっとした気持ちのすれ違い、お互いがお互いを思いやる優しい気持ちがあるからこそのボタンのかけ違い。その結果、事件が起こってしまったのだと思います。
娘を持つ父親としては、泣けましたよ(T_T)
何回も書きますが、本作は100%PC画面の映像で展開されます。ぶっちゃけ大迫力ではありません。大作ではありません。が、間違いなく傑作です!見て損はしないです!!オススメの作品です!!!
おまけ
サンダンス映画祭とは
サンダンス映画祭は、アメリカの映画祭。ユタ州のスキーリゾート地で有名なパークシティで、1978年より毎年1月中旬から11日間に渡って開催されている。インディペンデント映画を対象とし、数万人規模の客を招き約200本もの長・短編映画が上映される。日本のNHKがスポンサーに名を連ねている。
(出典元:ウィキペディア)
かなり歴史のある映画祭ですね。本作『search』は2018年のサンダンス映画祭で『観客賞』を受賞しています。
ちなみに過去にサンダンス映画祭で上映された作品として『レザボア・ドッグス』『ユージュアル・サスペクツ』『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』『メメント』『ソウ』などがあります。
錚々たる作品たちですよね。
そういった意味でもとても価値のある受賞だと思いますし、受賞に恥じない面白い映画でしたよ。
パンフレット
縦が210mmで横が148mm。いわゆるA5サイズ(A4サイズの半分)の小型のパンフレットです。 上部にタグがあり面白い作りになってます。
パンフレット中面はパソコン画面を意識したデザインになっていて、映画との統一感もありシンプルでオシャレで可愛いですよ!
内容はキャスト紹介や相関図、撮影の裏話的な内容(iPhoneも使って撮影したらしいです)などが載っています。著名な映画評論家の町山智浩さん(@TomoMachi)やジャーナリストの佐々木俊尚さん(@sasakitoshinao)のコラムが掲載されています。ちょっとお得な感じがします。
小型のパンフレットですがとっても充実した内容ですよ!
以上、映画『search』の感想と考察でした!
最後まで読んでいただきありがとうございました!