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映画『ウトヤ島、7月22日』【ネタバレ感想】ノルウェー・ウトヤ島での無差別銃乱射事件を72分間ワンカット映像化!

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映画『ウトヤ島、7月22日』を観てきました。

 

2011年7月22日に起きたノルウェーのウトヤ島で起きた無差別銃乱射事件をモチーフにした映画です。

 

観終わった後のダメージが予想以上に後を引く今作。

 

では、いってみましょう。

 

 

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作品情報

公開日:2019年3月8日

監督:エリック・ポッペ

製作:フィン・イェンドルム

   スタイン・B・クワエ

製作総指揮:スタイン・B・クワエ

      フィン・イェンドルム

      エリック・ポッペ

脚本:ジブ・ラジェンドラム・エリアセン

   アンナ・バッへ=ビーク

撮影:マルティン・オッテルベック

制作国:ノルウェー

上映時間:97分

配給:東京テアトル

 

 

キャスト

アンドレア・バーンツェン:カヤ

エリ・リアノン・ミュラー・オズボーン:エミリエ

ジェニ・スベネビク:オーダ

アレクサンデル・ホルメン:マグヌス

インゲボルグ・エネス:クリスティーネ 

ソロシュ・サダット:イッサ

ブレーデ・フリスタット:ペッテル

アーダ・アイド:カロリーネ

カロリーヌ・シャウ:シグリ

タマンナ・アグニホートリ:ハリマ

トルケル・ドンマースネス・ソルダル:ヘルマン

マグヌス・モエン:トビアス

マリアンヌ・グジュルスバック:シリエ

ダニエル・サン・トラン:エーベン

ソルベイ・コルエン・ビルクラン:スカード・イエント

 

   

あらすじ

2011年7月22日、ノルウェーの首都オスロの政府庁舎前で車に仕掛けられていた爆弾が爆発する。世間が混乱する中、オスロから40キロ離れたウトヤ島で今度は銃乱射事件が起こり、同地でノルウェー労働党青年部のサマーキャンプに参加してた10~20代の若者たちが犠牲になった。犯人は32歳のノルウェー人のアンネシュ・ベーリング・ブレイビクという男で、極右思想の持ち主であるブレイビグは、政府の移民政策に不満を抱きテロを計画。政府庁舎前の爆弾で8人、ウトヤ島の銃乱射で69人と、単独犯としては史上最多となる77人の命を奪った。

(出典元:映画.com)

 

 

『ウトヤ島、7月22日』感想

72分間ワンカット映像化

今作『ウトヤ島、7月22日』はサマーキャンプに参加している主人公の少女・カヤの視点で、無差別銃乱射事件を72分間ワンカットで映像化したものです。

犯人であるブレイビクの無差別銃乱射は発生から終息まで72分間にも及び(長い!)、その72分間をずっとカヤの視点で展開されるというまさにリアルタイムで疑似体験ができるという何とも恐ろしい映画なんです…。

カヤと共に銃声や悲鳴に怯え、姿の見えない犯人から逃げて隠れて72分間ずっと緊張しっぱなし。

 

 

 

銃乱射事件前から漂う緊張感


冒頭の10分ほどは事件発生前のキャンプ場のシーンでね。若者たちがそれぞれに楽しく過ごしてるわけですよ。カヤなんかは一緒に参加している妹のエミリエと姉妹喧嘩しちゃったりしてね。ま、ある意味微笑ましい普通の光景ですわ。

 

キャンプに参加した若者たちはまさかこれから歴史的な惨劇が起こるなんて夢にも思っていません。

でも、観てるこっち側(観客)はいずれ起きる惨劇を知ってるわけで。楽しそうなキャンプ場のシーンを観ていても全然楽しく観れないんです。いったいいつその惨劇が起きるのか、いつ銃乱射は起きるのか、緊張感持ってドキドキして観てるという。

そんな中「ドーーーーンッ」と一発の銃声が鳴り響くんです!逃げる若者たち。カヤは何が起きてるのかわからないまま逃げるんです。

もうね、ここからはずっと恐怖。

 

 

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恐怖を煽る銃声

常に銃声が鳴り響くんです。逃げまくりの隠れまくりの怯えまくり。カヤと友人たちもパニックになりながらも森の中に逃げて身を潜め、スマホで警察に連絡を取ろうとするものの電波の状態が悪くてうまく連絡が取れないという悲惨な展開(実際に電波の状態悪く、警察と連絡が取りにくい状況だったために、警察の動きも後手に回り、ブレイビクの銃乱射という凶行が72分間にも及んだらしいです)。

72分間で69人もの若者たちの命が奪われたこの事件。ってことは、ほぼ1分間に1人の命が奪われたことになります…恐ろしいですよね。もちろん犯人は100発100中の腕を持つとは思えないので、実際は69発以上、もしかしたら倍くらい、いやもっと発砲してるかも。

そしてその銃声が恐怖を煽るんです。銃声が遠くから聞こえると何となく安心できるけど、近くから「ドーーーーンッ」と銃声が聞こえると一気に緊張感が増し増しになり、観てる僕まで息を潜める感じ。これが72分間続くという…精神やられます。

 

 

 

過剰な演出はない

銃声はずーっと鳴り響くものの、犯人の姿はほぼ映像に映りません。2度ほどチラッと姿が確認できる程度。犯人の存在を認識できるのは銃声と逃げ回る若者たちと転がっている若者たちの死んだ姿。

犯人が主人公のカヤを追いかけてきたり、突然木の陰から飛び出して銃を撃ってきたり、そういった過剰な演出もまったくありません。カヤを助けてくれるスーパーヒーローも現れません。奇跡も起きません。BGMもありません。銃声と息づかいがBGM。装飾のないこの感じがまたリアリティがあって恐怖と絶望が増すんです…。

ずーっと恐怖と絶望の中、一緒にサマーキャンプに参加していた妹エミリエを探しつつも(事件発生時には別々に行動していた)カヤは逃げるんです。逃げるんです。逃げるんです!

 

 

 

ラスト5分、衝撃のラストへ

いったいいつまで逃げればいいんだよ…長いな…って僕が精神的に疲れを感じはじめた時に、まさかまさかの衝撃のラストへ。

これホント衝撃。ここではあえて書きませんが、僕は観終わった後ショッキングで1週間ほど引きずりました…。気になる方は今作を観てね。

 

 

 

まとめ

無差別銃乱射事件を疑似体験する衝撃的な今作。正直、繊細な心をお持ちの方には今作はオススメ出来ないですね。ホント精神的にやられます。

銃の恐ろしさ、銃社会の恐ろしさが嫌というほどわかるので、精神的にタフな方には絶対に観て欲しい映画です。

とはいえ、単独犯の犯行としては史上最悪の大量殺人事件にもかかわらず、相変わらずノルウェーは銃の所持を認めているらしいです。

 

過去の事件を映像化するってことは、ただ単に詳細な事件内容や恐怖を伝えるだけではなくて、基本的にアンチテーゼを示してるわけですよ。今作だと銃社会に対するアンチテーゼ。

 

凄惨な銃乱射事件があったにもかかわらず銃の所持を認めているノルウェー。学習しろよ!って言いたくなります…。

はぁ、それにしても、久々にトラウマ級の映画を観てしまった…。これから観ようと思っている方は、覚悟して観てくださいね。

 

 

 

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!

 

ではまた。