映画『PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR(編集版)』【ネタバレ感想】梓澤には失望…。多くの謎を残したまま続編へ?
テレビアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス 3』の最終話終了直後に続編が劇場公開されることを知り、めっちゃくちゃ楽しみにしていたのに2月の終わりに右足小指の付け根を骨折してしまったワタクシ(ナンテコッタイ!)。
劇場版は全て劇場で観賞してきたのに、自らの失態で文字通り劇場に足を運べなくなり、苦渋の決断でAmazonプライム・ビデオにて<編集版>を観賞しました…。
では、いってみましょう。
予告
『PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR』本予告
作品情報
公開日:2020年3月27日
監督:塩谷直義
シリーズ構成:冲方丁
脚本:深見真
冲方丁
吉上亮
キャラクター原案:天野明
主題歌:Who-ya Extended「Synthetic Sympathy」
アニメーション制作:Production I.G
上映時間:135分
配給:東宝映像事業部
登場人物(声の出演)
公安局刑事課一係
慎導灼(梶裕貴)
公安局刑事課一係の監視官。24歳。
特A級メンタリストであり、高度な共感により精神的ボーダーラインを越境し追跡対象者になりきる。明るく飄々としていて、誰にでも物怖じしないポジティブな性格。過去の事件が原因で、父親の車でしか熟睡できない。
炯・ミハイル・イグナトフ(中村悠一)
公安局刑事課一係の監視官。24歳。
ロシア系移民の二世で帰化準日本人。幼少期は海外の紛争地帯で育つ。軍事訓練を受けており、格闘・射撃・解析技術に優れた元兵士。正義感が強く生真面目な性格だが、家族のことでは熱くなりやすい一面も。既婚者であり、妻は同じロシア系移民の舞子・マイヤ・ストロンスカヤ。
雛河翔(櫻井孝宏)
公安局刑事課一係の執行官。25歳。
一係の中では一番の古株だが、内向的で人付き合いが苦手な性格で、天馬や入江にはよく絡まれている。鬱病を患った経験から薬物依存になりドラッグバイヤーをしていたが、顧客が命を落としたことで潜在犯となる。元ホロデザイナーでもあり、その知識や技術を生かし捜査に貢献している。
廿六木天馬(大塚明夫)
公安局刑事課一係の執行官。55歳。
荒々しい性格で、やられたらやり返すファイタータイプ。他の執行官たちのリーダー的存在として振る舞い、配属される監視官を試すような態度を取る。
入江一途(諏訪部順一)
公安局刑事課一係の執行官。32歳。
馴れ馴れしく悪意ある軽薄さで人に接するが、優しい一面も持つ兄貴肌。
如月真緒(名塚佳織)
公安局刑事課一係の執行官。26歳。
他の執行官たちとも馴れ合わないクールな性格で、職務は適切に遂行するものの基本冷めたスタンスを取る。
唐之杜志恩(沢城みゆき)
公安局総合分析室の分析官。35歳。
情報収集・解析の面から刑事課一係の捜査活動をバックアップする。鑑識ドローン、高機能小型ドローン(通称ダンゴムシ)などを駆使し、ときには違法ハッキング行為を行うことも。執行官同様、潜在犯でもある。
霜月美佳(佐倉綾音)
公安局刑事課課長、統括監視官。24歳。
〈シビュラシステム〉の適性判断により、最年少で厚生省公安局に入局。刑事課一係の監視官として数々の難事件の捜査に関わってきたが、現在は刑事課を統括しており、現場からは一線引いている。
常守朱(花澤香菜)
元・公安局刑事課一係の監視官。28歳。
自らの信じる正義を貫き、過酷な事件をいくつも乗り越え一係をまとめていた。ある事件により、現在は勾留中の身となっている。
外務省行動課
狡噛慎也(関智一)
外務省行動課特別捜査官。36歳。
元・厚生省公安局刑事課一係の執行官。
海外へ逃亡し、傭兵として放浪生活を送っていたが帰国。
高い戦闘技術と強靭な肉体を誇り、元刑事らしい知性と正義感も持ち合わせる。
宜野座伸元(野島健児)
外務省行動課特別捜査官。35歳。
元・厚生省公安局刑事課一係の執行官。
冷静な判断力と観察眼、包容力で一係を支えていたが、現在はフレデリカのもと、主に国外に関する事件を追っている。
須郷徹平(東地宏樹)
外務省行動課特別捜査官。30歳。
元・厚生省公安局刑事課一係の執行官。
実直で生真面目な性格。外務省に籍を移し、宜野座らと共に国際犯罪に関する事件を追っている。
花城フレデリカ(本田貴子)
外務省行動課課長。36歳。
開国に向けた動きを予見し、外務省内に部隊を新設。
危険度の高い国際犯罪対策チームとして行動課を率いる。
ビフロスト
法斑静火(宮野真守)
〈ビフロスト〉のコングレスマン。32歳。
常に冷静沈着であり、その思考は柔和な笑みに隠され窺い知ることはできない。唯一の癒しは飼っている愛犬。
代銀遙熙(中博史)
〈ビフロスト〉のコングレスマン。77歳。
策謀を巡らせ、頭脳戦に興じる老獪な紳士。
新たに加わった静火の反応を楽しむ。
裁園寺莢子(田中敦子)
〈ビフロスト〉のコングレスマン。48歳。
浮世離れした妖艶な美女だが、その言動にはサディスティックな一面が垣間見える。
その他
梓澤廣一(堀内賢雄)
〈狐〉を使った事件のプランメーカー。46歳。
様々な肩書きを持つ、捉えどころのないニヒリスティックな中立者。
事件に迫る一係の前に次々と罠を仕掛けていく。
小畑千夜(矢作紗友里)
梓澤の協力者。23歳。
梓澤が設計した事件のサポートを行う優秀なクラッカー。仕事は適切かつ迅速に行うが、梓澤にはいつも口汚く悪態をついている。
六合塚弥生(伊藤静)
フリーランスのジャーナリスト。30歳。
元・厚生省公安局刑事課一係の執行官。
サイコパス良化により社会復帰し、現在は公安局と捜査コンサルタント契約を結んでいる。
(出典元:サイコパス公式サイト)
あらすじ
2120年、東京。シビュラシステムによって管理された社会で、刑事課一係を率いて事件を解決してきた二人の監視官、慎導灼と炯・ミハイル・イグナトフは、事件を捜査していく渦中で真実と正義を巡り決裂してしまう。
それらの事件の裏で暗躍する梓澤廣一は、ついに刑事課そのものを標的に定め、公安局ビルを襲撃する。
かつてない窮地に立たされた公安局刑事課一係。灼と炯の信義を問う、最後の事件が起きる――
(出典元:サイコパス公式サイト)
『PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR』ネタバレ感想
キャラクターが立っていた(特に志恩さん)
率直に言うと、う〜ん…悪くはなかったけど良くもない!といった微妙な感想。良かった点より残念な点の方が多かった、といった感じ。
良かったのは、サブキャラがみんなそれなりに立っていたこと(須郷以外は…)。出色だったのは志恩さん。いつもなら分析室で刑事課一係の捜査をバックアップする志恩さんが、分析室を飛び出して活躍する姿は超新鮮。さすがにアクションシーンは無かったものの、身体を張った志恩さんの活躍には感動すら覚えましたよ(走る志恩さんの姿が見られるなんて…サイコパス史上初じゃないかしら?)。小畑ちゃんとの小型ドローン対決も熱かったし面白かったなぁ。
あ、小畑ちゃんの梓澤への暴言=淡い恋心(?)も随所に見られて(いつもよりやや多め)、微笑ましくて可愛らしくて良かったですな。正面から見ると可愛いんだけど、顔の角度が変わるとブサイクになっちゃう小畑ちゃん。個人的には好き。再登場はあるか?
霜月&廿六木や入江&如月のバディっぷりも新鮮で面白かったし、志恩さんの代役を務めた雛河は相変わらず地味だったけど頑張っていたし、護衛ロボ(?)を手刀からのハイキックで倒す宜野座はカッコ良かったし、ピースブレイカーの残党と決着をつけた狡噛もクールで良かったし、それぞれに見せ場があったのはサイコパスファンとしては嬉しかったです。
残念だった梓澤の目的
が、残念だったのはファースト・インスペクターの梓澤。どちらかというとリスクヘッジがうまい梓澤が、自ら公安局に乗り込むというリスクを負いながら仕掛ける展開は意外性があって面白かったけど、問題なのは梓澤の最終目的。
(ガッツリネタバレいきます。)
梓澤自身がシビュラシステムに組み込まれることが最終目的、という展開は個人的にはとっても残念。
サイコパスの世界って、シビュラシステムによって全てが決められる=人間が選択する自由を放棄した世界なわけで(わかりやすく言うとシビュラシステムによる徹底した超管理社会)、その世界に対するアンチテーゼが主題だと思うわけですよ。槙島聖護と狡噛慎也の戦いなんてまさにそう。根底にあるのはシビュラシステムの是非なのよ。
梓澤の犯罪行為だって、人間に選択の自由を与えて、その選択の結果どうなるのか、というアンチシビュラ的な発想で展開されてきたわけで。悪党なんだけど、このシビュラシステムに支配された世界に疑問や不満を持っているような、シビュラに挑戦するような切れ者感が良かったんだけど…残念。
シビュラシステムに組み込まれたいが為のこれまでだった、という結末にはイマイチ納得がいかなくて重ね重ね残念(結局はシビュラ信奉者だったんかい!っていうね)。だったら免罪体質者の存在を知っていて欲しかったわ。こんなラストだったらビフロストのトップに立ってシビュラシステムとやりあって欲しかったわ(っていうか、ビフロストも最後はあっさり壊滅しちゃったし、シビュラシステムの脅威にならなかったしなんか中途半端)。
まぁ、結局は生き残っちゃったし、小物感しか残らなかった梓澤。槙島聖護のようなカリスマ性は無かったということ。梓澤にはガッカリだぜ。
活躍しなかった須郷
サイコパス3のテレビアニメ本編からずーっと気になっていたのは須郷。全く活躍しなかったじゃないの…須郷。
劇場版サイコパス三部作『ファースト・ガーディアン』(2019年)で、花城フレデリカ直々にスカウトされたにも関わらず、軍事ドローンのエースパイロットだったにも関わらず、腕前を発揮する事なく終わってしまうとは…あまりにも不憫じゃありませんかい?本作『ファースト・インスペクター』ではドローン技術を発揮できる場面はあったのに…。
生前の征陸のとっつぁんとガッツリ絡んだくらいの重要なキャラクターなんだからさ、活躍の場面を作ってあげても良かったんじゃないのかな。
劇場版三部作の最後にピースブレイカーという謎の組織の存在を仄めかして終わったにも関わらず、サイコパス3ではすでにピースブレイカーは壊滅状態になってたり…とにかく劇場版三部作の扱いがとにかく雑なのよ。
劇場版三部作とサイコパス3の間の物語を描く必要があるんじゃないでしょうか…。
謎を残し過ぎ…続編へ?
まだ未回収の謎が多過ぎ。灼の父・慎導篤志の死の真相、イグナトフの兄の死の真相、常守朱が起こした事件の真相、キツネの正体、そして今回新たに花城フレデリカの仇の存在が判明(ピースブレイカー?)。実のところサイコパス3では何の謎も解決されてないという。ただ梓澤を逮捕しただけという…(ナンテコッタイ!)。
法斑が公安局の局長になり、常守朱も復帰し、新体制に。そして。灼とイグナトフの望んでいる真実の解明は終わっていないので、間違いなく続編はあるはず。
完全に消化不良だった本作。どうなっていくのかまったく読めないけど、とりあえず常守朱と狡噛慎也のコンビ再結成を期待して、続編を待ちましょうぞ。
おしまい。
【劇場版サイコパス三部作】
【サイコパス3】